(6)

 変な町だった。

 生活感みたいなモノが無……ああ、そうか。

 たとえば、昼御飯を食べられそうなお店。コンビニなんかも、ほとんど無い。

 有るのは……ビル、ビル、ビル、またビル。

 よく見ると……と言うか、良く見ても、1つ1つのビルの区別が出来ない。まるで……大量生産品みたいな……。

 雑な漫画の「都会」のシーンの背景みたいな感じ。

 しかも、人が見当らない。

 たまに見掛けるのは……倒れている警察官。

 そして……この人工島の中心部らしい場所。

 広場の真ん中に、ひときわ高いビルが有る。

 その周囲で……。

「おい、こいつらは殺していいのか?」

「推奨は出来んが……死んでも爆発はしないようだ」

「じゃ、電撃もOK?」

「問題ない」

「うきゃきゃきゃきゃ……テロリストどもめ、成敗して、うぎゃあああ……‼」

 あたし達に向かって来た警官は、沙也加ちゃんの電撃で次々と気絶。

「おい、トランクにゴーグルとガスマスクが入ってる。着けろ」

 護国軍鬼は、自分の4輪バギーの後部座席に乗ってた沙也加ちゃんに、そう言った。

「え? でも、変身してるから、顔バレの心配は……」

「催涙ガスを使って道を開く」

「えっ?」

「お前たちが助け出したいお友達が居るのは、あのビルの屋上だろ? 私達が道を開く。行け」

「おい、待て、その2人……まさか……」

 続いて別の声。

 その声のする方向を見ると……同じような4輪バギーが更に2台。

 所々に梵字が描かれたライダースーツ風の人と……もう1つ……青い護国軍鬼。

「そのまさかだ」

「おい、私の弟子を、何、勝手に危ない目に……」

 えっ?

「仕事中は個人情報を言うのは、御法度だ。ともかく、私達が道を開いて、こいつらをビルの中に入れる」

「やれやれ……」

 そして……1人目の銀色の護国軍鬼の4輪バギーから……何かが発射され……。

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