(4)
ゴン……。
自分の側の高速移動能力者がやられたのを見て、敵の
そして、何故か、自分の味方を制止し……。
「えっ? あたし?」
指差したのは、こっち側の
向こうの
どうやら「手4つ」での力比べを申し出ているようだ。
「仕方ねえなあ……」
そう言いながら、敵側の
その「目」の色が変っている。
本来は民生用・作業用である
これは、非戦闘目的の作業、それも生身の人間や他社の強化服の着装者との共同作業などであれば、アイ・コンタクトが必要になる場合も考えられるのを考慮したものだ。
そして、今、こちら側の
戦闘用に改造された
向こうの
やがて、2体の
銃声。
向こうの
だが、こっちの
相手の両方の太股を斬り裂いていた。
「韓国のヤクザなら知ってるだろ? あんたらの
「がっ……‼」
相手が付けられた傷の位置……そこは大腿動脈。人間の体表近くを走る8つの太い動脈の1つ。至急止血をしないと死の危険さえ有る場所だ。
そして、韓国の刑法での「殺人罪」の成立要件の1つは、日本と同じく「未必の故意を含む故意」。
かつて、韓国でのヤクザ同士の抗争では、わざと相手の太股を日本の柳葉包丁や刺身包丁に似た刃物で刺して、裁判で「死なないように、わざと急所から外れた場所を狙ったが、まさか、あんな所に太い動脈が走ってるなんて知らなかった」と証言して、殺人罪ではなく1つ軽い暴行致死を狙う方法が使われていたらしい。
味方が2人続けてやられたのを見た向こうの「魔法使い」系が、何か呪文を唱え……た途端に、こちらの「新人ブルー」による電撃攻撃。
続いて、「新人レッド」の
もっとも、これは、ボクの脳が「気配」のようなモノを無意識の内に視覚に変換してるらしく、本当は、昔の漫画の「かめはめ波」みたいなモノじゃなくて「呪詛」の一種らしく「物理的に避ける」事は出来ない代りに「気配を
とは言え、多分、単純な力や
続いて、向こうの獣化能力者2人組が、こっちに向って走り出す……。
だが、「新人レッド」「新人ブルー」が「気弾」と電撃で牽制。
その時、味方のトラックからドローンが飛んで来た。
ドローンが持って来たのは……通称「長巻」。
九〇㎝ほどの黒に近い青とピンクに近い赤に塗り分けられた、やや反りの有る強化プラスチック製の棒。
それをバタフライ・ナイフのように展開。
中からは「鞘」と同じ位の長さの「峰が鋸歯になっている日本刀」のような刀身が出て来る。
この刀身は
鋸歯の方で付けた傷口は、かなりズタボロな状態になり、高速治癒能力者でも傷口がふさがるまでに通常の傷よりも時間がかかる。
鞘が2色になっているのも、その場に最適な刃が、どっちなのかを、とっさの場合でも判別出来るようにする為だ。
ボクは、長巻を振い、まだ完全回復していない2体の獣化能力者に斬撃を加える。
獣化能力者と言っても、ボクやハヌマン・シルバーに比べて、より「一般人」に近い上に、「高速治癒能力封じ」の刃で切り裂かれた為に、傷口がふさがる前に、更に負傷する事になる。
やがて、血を流し過ぎて、体力を失なったらしい2体は、地面にへたり込む。
「とりあえず……鎮圧完了って、とこかな?」
ハヌマン・シルバーが、そう言った。
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