魔導兇犬録:HOLDING OUT FOR A HERO
@HasumiChouji
プロローグ
Bad Dreadms
貴方の責務は行動そのものにあり、決して、その結果ではない。
結果のみを求めて行動を起こしてはならず、行動の結果が無為に終ったとしても、その事に
「バガヴァットギーター」より
神は少数者を救い給うほど慈悲深き御方であると同時に、御自身の望む所に従って我らを滅ぼすほど峻厳なる御方であり給う、と信じる事は最も高き段階の信仰である。
マルティン・ルター「奴隷意志論」より
よって、どう考えても「天」というか、「神」というか、とにかく得体の知れない力ってのは堅気じゃあないと
根本敬「人生解毒波止場」より
こいつが、悪い奴じゃないのは判ってる。
でも、何となく気に入らないのは確かだ。
「ねえ……兄さん」
「誰が兄さんだ?」
「ええっと……」
「いつから、俺の妹の彼氏気取りだ?」
「ひょっとして、ボクの事、嫌ってます?」
「今村……大人気ないぞ……」
一緒に居た同級生の望月から容赦のない指摘。
「うるさい。高木が同性愛者だって知った時のお前の醜態に比べりゃ……」
あ……言い過ぎた……。
望月の顔色がみるみる変り……こいつ的には折り合いを付けてた筈の傷口の瘡蓋を無理矢理他人に剥がされたような
「あ……あ……ご……ごめ……」
「と……ところで……あれ……何ですか?」
あ……この自称「俺の妹の彼氏」……案外、気が効く奴かも知れない。
俺がマズい事を言ったんで話題を……ん?
な……何だ……ありゃ?
あいつの格好を兎や角言っても……絶対に差別的発言だと批判される事は無いだろう。
日曜の昼間の大通りで、昔のエロゲーにでも出て来そうなエロ衣装を着た馬鹿が約1名。
手には……絵心の無い駄目なオタクが雑にデザインしたようなダサい外見の「魔法少女のステッキ」みたいなモノを握り……。
通行人は……当然、「関わっちゃいけない人」扱いで……その馬鹿を避けて通っている。
「スペクトラム・ペンタグラムのリーダー、スペクトラム・スカーレットだな?『魔法少女大戦』は、まだ、終っていないぞ‼ いざ、尋常に勝負だッ‼」
そんな格好はコスプレOKかつ一八歳未満立ち入り禁止の場所でやってくれ、としか言い様が無い
「沙也加?」
「沙也加さん?」
「あ……あれ、今村の妹……?」
俺と、自称「俺の妹の彼氏」と、望月は、3人同時に叫び……。
「おい、2人とも、ここで
慌てて駆け出した俺と自称「俺の妹の彼氏」に望月がそう怒鳴る。
変質者に絡まれてた中学生ぐらいの女の子2人連れの片方は……俺の妹だった。
「こんちく……」
「『火事場の馬鹿力』もマズいって‼」
ドゴォッ‼
ドゴォッ‼
ドゴォッ‼
ドゴォッ‼
次の瞬間……変質者は4発の打撃を、たて続けに食った。
変身もしてなけりゃ、「火事場の馬鹿力」を使ってもないが、その状態でも常人を遥かに上回る身体能力を持つ
これまた変身してないが、
もう1発は……おい……俺の妹と一緒に居た女の子も……「特異能力者」なのか?
「兄ちゃん……にゃんこ……何で、ここに?」
「たまたまだ……。えっと……大丈夫だったか?」
「いや、大丈夫じゃなさそうなのは……」
マズい……。これ……もし、この変態のおっちゃんが死んだら……確実に過剰防衛だ……。
「救急車……呼んだ方がいい?」
背後から……望月の声……。
「あの……あとさ、連絡先知ってたらでいいけど……」
「な……何?」
「弁護士も呼んでもらえる?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます