みゆきの森に聖母と祈りを
星月小夜歌
1. overture
私は
この星花女子学園で、4年前から司書教諭として働いている。
私自身も星花女子学園の卒業生。一言で言えばOGである。
星花女子学園は創立から70年以上の歴史を誇る女子校で、教職員にはOGも多数いる。
なので、かつて生徒として同じ時間を同じ学び舎で過ごした少女達が、次の少女達を教え導く教師達となって再会することもある。
1年前に赴任してきた、
しかし、私は、この時は知る
図書室という本の森で、一人で生きていた私に「好き」というものを教えてくれた、聖母のように優しくて、大好きなひと。
それが、
ー1年前 立成19年度 春ー
「このたび、星花女子学園で働くこととなりました、
穏やかで優しそうな女性。これほどまでに聖母の名前が似合う人は初めてである。そして彼女もOGなのね。もしかしたら、私と在籍期間が被ってるかもしれない。
ん……? 私、彼女のこと知ってるかも……? 幸先生の声、絶対に聞いたことがあるような気がする。
それに、彼女の声が、不思議に心地よい。もっと彼女の声を聴いていたい。
私は、人と距離を詰めるのは苦手だけれど、幸先生となら親しくなれるかもしれない。あんなに優しそうな人なんだから。
きっと、私のような、本の森に引きこもってしまう人間にも、きっと優しくしてくれそうだから。
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