第7話 選択肢
「——えっジブンでイドウシュダンを? そのせいでイマタチオウジョウしてるの?」
信じられないといった視線がシズルを貫く。
「うっさいわねぇ。そこで貴方の力よ。貴方、輪っかで空間移動ができるんでしょう? ちょっと送ってくれない?」
「…そっちのラナというコタイはトウキのマドにノせてもカマわないが…」
(窓? あのメテットさんが入っている穴のことですかね?)
ラナがそんなことを考えている間に、メテットはシズルの方を向いて
「コタイメイ:シズル。アナタはダメ」
「なんでよ!?」
「トウキはアナタにナニももらっていない。ナニより、キケンであるとハンダンしたタメ。」
「うーん。融通が利かないわね。何か…と言っても私には釘しかないわね。はい」
シズルは手のひらから剣と同じくらいの釘を抜き出し、メテットに投げ渡す。
「…フメイ。これは?」
「あたしの魔力がこもった釘よ。それで誰か刺せばはらわたとかが釘になって体を貫くわ。貴方戦う力がそんなにないみたいだし、護身用にあげる」
「ハラワタが? クギ?」
「貫くんですね…」
その言葉にメテットだけでなく、ラナも引いていた。
「キケンド:ゲキタカ。トウキはこれよりコタイメイ:ラナとトモにカキュウテキスミやかにリダツする」
「ちょっ!? 待ちなさい! 対価払ったのになんでおいてくのよ!?」
「こんなキケンブツをビュンとナげるやつトウキのマドにノせられるわけないだろうがキサマ」
(それはそうですね。ってあれ?)
「ワタシもそれについていくんですか!?」
「カマわないとセンゲンした。それにこのままだとアナタのミがアブない」
「それは困ります! 彼女がいないとワタシの復讐が!」
「フクシュウ?」
〈コタイメイ:ラナ。これよりジジョウチョウシュをカイシする。キケンジンブツ:シズルはハナれておくように〉
〈はぁ!? 私をのけ者にするつもり!? ってか危険人物っつったわね!?〉
〈し、シズルさん落ち着いて! メテットさんなぜワタシだけなのですか?〉
〈ヒトク。ただしオウじなければトウキはヒトリでリダツする〉
〈えー……!?〉
シズルはラナが寝ていた家の玄関まで戻り、ラナとメテットを遠くから見ている。
ラナとメテットは、シズルからある程度離れ、沢山ある釘塚の中から一際大きい釘の近くで話し合いをすることになった。
その際にメテットは空間の穴から降りていた。この時初めて露わになったメテットの下半身部分は、やはり膝などの関節部分は輪っかだけでつなげられていたのだが、膝から下は機械の主張が強くごつごつしている。
「ジジョウはハアクした。ラナ。イマのラナにはあのキケンブツがヒツヨウだと」
(シズルさん。もはや爆弾扱い…)
「はい。ワタシには彼女の力がいるのです。ワタシの為に」
「フクシュウのタメに? テキをタオすタメに?」
「…? はい」
確認するようにメテットはラナの目的を復唱する。
そして唐突に。
「トウキはラナのフクシュウはヤめるべきだとカンガえる」
「えっ!?」
「ラナのフクシュウはただのソンシツとなるカノウセイがある。ラナはただウシナうだけでオワるとヨソクする」
「そ、そんな何を根拠に!」
「フクシュウというコウイジタイがソンにしかならないものだからだ」
「モクヒョウ。ホンライそれにはメイカクなリエキがソンザイする。ムロン、トウタツするカテイでウシナうものもあるだろうが、モクヒョウにトウタツしたトキ、エられるリエキをカンガえればそれはソンとはならない」
「しかし、フクシュウはチガう。オノレのスベテをスててでも、アイテのナニカをヘらしたい。それがフクシュウのカンガえカタ」
「でも、ワタシは……それでも!」
「ラナ、アナタはトりつかれている。アナタジシンのフクシュウシンに」
メテットはシズルの方を見て、
「そして、シズルに」
「ワタシがシズルさんに……取りつかれている?」
「フクシュウをテイアンしたのはシズルだと記憶している」
「シズルさんがワタシを利用しようとしているということですか?」
「ダイサンシャからはそう見える。あったばかりでここまでケンシンテキなのはフシゼン」
「それは貴方にも言えることでしょう! 貴方とワタシも今日あったばかりです! それに貴方にはわからないでしょうがシズルさんはあの時真剣でした!」
「コウテイ。トウキとラナはハジめてアった。シズルにカンしてもトウキはラナからハナシをキいただけ。だからこれはただのイケン。キめるのはアナタ」
メテットは選択肢を挙げていった。
「ラナはシズルとともにここからデるか? ラナだけでデる? それともここにノコるか?」
そして、メテットは思いもよらぬ選択肢を挙げた。
「もしくは、このホシからリダツするか」
「この、星から!?」
当然、ラナは驚嘆していた。
「カナタよりキたとハツゲンしたはずだが? かなりジカンはかかるがトウキにはカノウ。」
「あ、貴方はいったい……!?」
「トウキは、モトはニンゲンのよりヨいミライのためにツクられたもの。今はラナとオナじソンザイであるがトウキはイマもなおラナのようなヒトガタセイメイタイのヨいミライをネガっている。」
「ラナのようなソンザイでもウけいれてくれるようなホシもハアクしている。ラナがノゾむのであれば、ソウダンするヒツヨウがあるがシズルもつれていくこともカノウ」
「シズルさんも……っていいんですか? 貴方はシズルさんをその……警戒しているような口ぶりでしたが……」
「タシかにサキホド、あのようなハツゲンはしたが、トウキはシズルともハジめてアった。ゆえにトウキのヨソウがハズれているカノウセイもオオいにある。ゲンに」
メテットは家の前にいるシズルの方を向いた。
「シズルはトウキのクチヤクソクをヤブらずイマもテイシしている」
メテットの言葉を聞いてラナは遠くにいるシズルを見た。
確かに会話に入れてもらえず不満そうな顔をしているが、シズルはこちらの様子を離れて見ているだけだった。
「もし、ラナをリヨウすることだけをカンガえているならばここでワレワレのカイワにマざらないはずがない。ラナがココロガワりしたらモクテキをハたせないからだ。このことからシズルはラナのことをソンチョウしているとオモわれる」
「シズルさん……」
「どうする? ちなみにメイワクとかはカンガえなくともいい。『ヨォネーチャン。モクテキチイッショダシイッショニイコーゼ!』というカンカクでヨい」
(演技下手っ!! っていうかそれ微妙に迷惑では……)
「ただ、ハナシをキいただけの、キョウハジめてアったダイサンシャのコトバをキいてくれるなら、トウキはトまるべきだとテイアンする」
「ラナ、アナタはフクシュウをオえたアトのミライをカンガえているか?」
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