眼鏡



その日。


早朝から

モルモットのお姫様は

ご機嫌斜めだった。


こんな日は

大抵コワイ夢を見た時。


現実と、

そのコワイ夢との区別は

難しいらしい。


内容を話してくれるのだが

モルモット語が判らない。


話してくれている時と、

様子を見ていると

夢の中では

もふもふ団の全員が

誰もいなくなっていたようだ。


一人、一人。

いるかどうか確認している。


モルモットのお姫様が起きた時に

見える場所に

おとうちゃんがいない。



眼鏡だけが残っている。




悲鳴を上げながら

咥えて

眼鏡を振り回す。



あっ!


折れた・・・


止める間もなかった。



「何してくれんのや!」


ぎゅいー!


モルモットのお姫様は

大粒の涙を

ボロボロ零して

声を上げて鳴きだした。


怒られた、よりも

おとうちゃんがいた!

喜びの涙。



眼鏡屋に寄ってから

仕事に行くことになった

おとうちゃん。


この時ばかりは

ハムスターたちも

モルモットのお姫様に

おとうちゃんを

独占させてくれた。

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