ないない!



「〇〇ちゃん、お豆は?」


豆大好きの仔に声を掛けると


「ないない!」


首を横に振って、豆を隠す。


大事な豆を

分けなくてはいけないと

良い仔は考えた。


「お手々に持ってるのは なに?」


頬袋にしまって


「ないない!」


「ほっぺに入ってるんじゃないの?」


くるり、と後ろを向いて


バリバリバリバリ・・・

バリバリバリバリ・・・


「ないない!」


笑顔で首を振る。


確かになくなった。


「あれーないねー

 お豆ないねー」


笑顔で


「ないない!」


うなづく。





おとうちゃんに

しょちゅう 


「お豆割って欲しいな」


と言われ、


大好きなお豆がなくなる!



なくなると分けなくていいと

考えた

賢い仔だった。




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