これを下さい
一番大きなハムスター。
35センチ近くあっただろうか。
立ち上がった時に
身長を計ろうと何度か挑戦した。
30センチは確実に超えていた。
ちょっとハムスターらしからぬ
巨体だった。
その時は どうしても
家の者に抱っこして欲しかった。
自分から寄ってきて
家の者の
足を
手でとんとん。
にこっ。
無条件の可愛さに悶えるニンゲン。
抱っこしてもらって
撫でてもらって ご満悦。
にこにこ。
家の者のシャツを咥えて
チョイチョイ、と引っ張る。
「どした?」
頭を下げながら
そーっと、チョイチョイ。
「シャツ欲しいの?」
シャツを掴んで
何度も頭を下げる。
一番大きな仔は
家の者が
そのシャツを着ていると
必ず 頼んでいた。
「おとうちゃん、このシャツ下さい」
振り返ると
家の者が
シャツを脱いで
ハサミで解体していた。
ちょっと離れた位置から
興奮した表情で
ハムスターが
その作業を見つめている。
キラキラした眼差し。
キレイに解体した中から
大き目に切った
シャツのパーツを
手渡す家の者。
「大事にしてくれよー
おとうちゃんの
大事なシャツだぞ」
抱きしめて
頬ずりし、
何度も何度も
頭を下げる。
その時から その仔は
寝床で
自分で上手に掛けて
端を抱いて寝るようになった。
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