第19話七年前~ユリウス王子side~

 

 三ヶ月後、叔父に爵位剥奪と領地没収とダイヤモンド鉱山での強制労働の罰が下った。最初は公開処刑だったのをシャイン公爵の鶴の一声で決定したと聞いた。


『アダマント王国人の鉱山労働人口の減少は著しい限りです。この際、重罪人はいっそのこと鉱山労働者に切り替えた方が良いでしょう。牢でただ飯を食わせているのは税金の無駄というものです』


 そう言って議会を説得したらしい。

 また、母上に関しても叔父と絶縁する事で今回は御咎めなしとされた。それもシャイン公爵の口添えがあったと聞く。


 侍従から結果報告を聞き終わり、安堵した瞬間に視界が暗転し、ソファーに倒れ込んでしまった。ホッとしたせいだろうか。ここにソファーがあって助かった。もし、なければ無様に崩れ落ちていたことだろう。


 よかった……母上はもう大丈夫だ。



「本当にようございました。これもブリリアント様の御尽力のお陰でございます」


 侍従は何を言うのだ!

 歳のせいでボケたか??

 あの小娘の尽力だと!!?


「ブリリアント様が公爵閣下に御口添えくださったのでしょう。そうでなくば、これほどまでに寛大な御処分はありえません。如何にシュゼット側妃様とは言えども良くて生涯幽閉、もしくは戒律の厳しい修道院行きは免れなかったはずでございます」


 他にも色々と便宜を図ってくれたらしい。

 あの小娘が!?

 一体なにを企んでいるんだ?

 どうも納得がいかない。


 ニコニコと話す侍従にジロリと睨みを利かせるがどこ吹く風と言った様子である。


「御礼の書状を何時お出しいたしましょうか?」


「礼だと?」


「はい。感謝の気持ちをお伝えしなければ失礼に当たりますゆえ」


 そんなもの必要あるまい。

 あの小娘の気まぐれという線も消えないのだ。不本意ながらいずれは結婚する女。義母になる母上を助けるのは当然の行為ではないか。それに感謝などしてたまるものか。


 侍従のしつこい問い詰めに負け渋々手紙を書くことを承諾すると、彼は恭しく一礼して退出していった。

 まったく余計な仕事を増やされてしまったものだ。



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