アイアムレジェンド
年末にアマプラでアイアムレジェンドという映画を見ました。内容はまぁよくあるゾンビ映画のテンプレートに沿ったもので、人間が作り出したウィルスによって、人類は九割が死んでしまって、残る一割も殆どがゾンビ化してしまっているという感じです。
最後にウィル・スミス演じる主人公が血清を見つけ、命をかけてそれを守って人類のレジェンドになるというのが劇場版の話です。これはこれでゾンビ化した人間を助けようと動いているウィル・スミスを、衝動に駆られて襲う事をやめられないゾンビを通して生物の業を描いているんでしょう。それはそれでいいんですが、この映画にはもう一つのエンディングがあります。
血清の開発に当たって、ウィル・スミスはゾンビ化した人間を捉えては人体実験を繰り返して行くんですが、それはゾンビ化した方から見れば仲間をさらって殺していく恐ろしいレジェンドなわけです。最後にさらったゾンビは多分ゾンビのボス的な存在の恋人みたいな感じなのでしょう。彼らはただひたすらに彼女を助けたかったという風に描かれます。
連携を取って社会的な行動ができるようになったゾンビには、彼らなりの文化や価値観が根付いていたという事です。それを一方的に悪だと決めつけて殺しまくるのはどうなんだろいうというのが、多分本来の製作者たちが言いたかったことなんだろうなと思いました。
ウィルス進化論という説があります。ウィルスを通して動植物間で遺伝子交換が起こって進化が促されているという理論で、ウィルスと人類は共生関係だという事になります。ウィルス性の感染症で人が死ねば、そのウィルスは人間から見れば排除すべき悪という事になるんでしょうが、火葬をしなければその死体を養分とする微生物にとってそれは立派な栄養源になります。それを取り込むことで生き延びることができた個体もあるでしょう。彼らから見ればそのウィルスは、自分たちを飢えから救ってくれた救世主なのかもしれません。
正義はひとつではないし、絶対的に何が正義などという事は誰にも分からないと思います。判定すること自体、結局はエゴでしかないように感じます。そういえば誰かの言葉で「この世界で起こる全ての事は正しい」というのを最近聞きました。今、量子力学の世界では因果律(原因があるから結果がある)がひっくり返りそうな雰囲気ですね。今後の宇宙観はどうなっていくのか楽しみではあります。
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