大便の不思議

 汚い話ですいません。


 日本の現代住宅では、家の内部に畳一枚分くらいで便所を設けることが多いと思います。昔は離れの便所もあったりしました。しかし最近ではそんな構成の家は殆どないでしょう。


 畳一枚分しかない空間で大便をするんですから、当然便所内は臭くなります。しかしこの臭さが時としてとても不思議に感じます。つい数秒前までは自分の体内にあった存在が、外に出たとたんに急に臭いを発するというのは、考えてみると面白い現象です。


 言い換えると人間は常に、こんな臭いものを体内に宿しているわけです。イケメンでも絶世の美女であってもこれは同じです。位置に関しても考察してみましょう。便器に座ってすぐは、大腸のあたりに内蔵されている大便が、排出されると30cm程度下方に移動するわけです。地球の自転や公転、宇宙の膨張を考えると実は物凄い移動距離ですが、それを言い出すとややこしいので自分の体との相対距離で考えます。


 30cm移動しただけで、体内にあった時とは全く違う状況を周囲に作り出します。臭くするわけです。臭いというのも不思議です。ハエなんかはこの匂いを好んで寄ってくるわけですが、人間は臭いと感じてしまいます。それはつまり生物としての本能が大便を危険な存在として認識しているという事です。


 数秒前、30cm上方の体内に内蔵していたものに対して、排出したとたんに危険を感じるというのはとても不思議な気がします。こんなバカなことを考えるのは私だけなんでしょうか?


 あともうひとつ。大便の成分についてです。子供の頃は大便とは食べ物から栄養分を吸収したその残りかすのようなイメージを持っていましたが、それは全体の1割程度らしいです。水分が7~8割で残りは腸の内壁や、腸内細菌の死骸などです。だから絶食をしている人でも、大便は出てくるんだそうです。


 では大便をしない植物はどうやって老廃物を体外に放出しているのか?植物はかなり無駄のないサイクルをもっているんでしょうね。殆どゴミを出すことなく、光合成で得られるエネルギーを使って、外部の二酸化炭素から炭素を得て、根から吸った微小な化学成分と合わせて体を構成する…代謝して捨て去るべき細胞は無くて全て体に取り込んでしまう。でもだからこそどんどん大きく育つんでしょうね。


 ただ植物も落ち葉というものを落とします。あれってもしかすると植物の大便と言ってもいいのかもしれませんね。ロマンが無くてスイマセン。

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