🚙
1
「『お泊まりドライブデート in 伊豆』で、女子高生のこころを盗む」
オレには、盗めない。
「え! おまえ、お泊まりデート、受けたじゃないか」
朧月がチョコチップクッキーをつまみ上げる手をとめた。
「木村に指定ナンバーまでつくらせといてそれはない」
ユリちゃんがいきたいならオレはどこにでもいくし準備だって万全を尽くす。
「それなら、」
オレはユリちゃんのものだからな。
朧月が肩をすくめて首を振る。
そんな芝居じみた仕草も彼にはさまになる。毎週のように『彼女』を取っ替え引っ替えする彼には。
「ユリちゃんが、かわいそうだ」
そうゆうんじゃ、ない。
オレのこころはユリちゃんのものだし、
ユリちゃんがもういらないとゆうまで…いやそうゆうとしてもユリちゃんのためにできることを、きっと考えている。
だけど、オレがユリちゃんのものになるのと、ユリちゃんがオレのものになるのはまったく違う。
じぶんの心にまで手をだしたオレでも、決して、奪ってはいけないものがあるのを知っている。
ユリちゃんはまだ若い。
いまはオレに気持ちが向いていても、大人になれば、地に足のついた男を見つけるだろう?
オレなんかに縛られていいはずがない。
ユリちゃんのハートは、いまオレが盗んでいいものじゃない。
朧月が小さく笑う。
「そんなこと…おまえがゆうんだ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます