王城にて 3


「何ということだ。苦労して召喚した勇者が、行方知れずだと」

「申し訳ございません」

「謝って済む問題ではないわ」


いくつもの影の神殿が襲われ焼失した。その警護に勇者を向かわせたという。その襲撃者にやられたのか、攫われたのか。隷属の腕輪の破片が残っていたという話もある。


なんということだろう。外に放逐した男が死んでしまったのは、仕方が無いことと諦めた。最初から、あまり期待してはいなかったからだ。


だが、今回のあの3人は当たりだったのだ。今まで、この地にあるなけなしの魔力マナで、呼びよせたモノとは格が違った。


歴代最強と呼ばれていた魔王が引退し、その後を引き継いだ現魔王は、歴代の中でも弱いと言われている。あの3人を磨けば、その魔王を倒し、封印の指輪を手に入れられる可能性があったはずだ。


大いなる神々の地より、新しき神を召喚するためには、封印の指輪と生け贄となる魔力マナの塊である勇者が必要だというのに。

捜索は続けよう。






強き勇者を召喚する方法は判ったのだ。もう少し、魔力マナの量を増加して、もっと強い勇者を呼びよせることは可能かもしれん。

魔王の就任期間は長い。まだ時間は充分あるといえよう。


そう考えると、辺境に結界が張られてしまった事は、痛い。前回のように易々とコボルトの集落を落とすことは難しいか。何か方法を考えねばならん。

山岳域も視野に入れるか。いや、一番簡単なのは、国の辺境部にある街や村を潰せば早いか。魔力マナを取り出すのに容易いのは、人ならば子供だったが、大人であっても数があれば良いだろう。


辺境伯領の結界に逃げられぬよう、噂もばらまいておこう。

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