「村方電波は神様である」

ぽこちん侍

第1話 「村方電波は神様である」

 scene.after school/take1/no.2

 

 放課後、教室の一幕。

 「……そう」

 と、少女は言う。

 開け放たれた窓から風が吹き込み、彼女のボブヘアーを揺らす。

 風は夏の空からかすめ取ってきた土の匂いや、学生の活動音を運んでくる。

 運動部の野太いかけ声。

 管楽器の不協和音。

 と、彼女の目が綺麗に歪む。

 「そう、私が神様だよ」



 

 「カーーーーット!!!」

 怒号が場面を閉める。

 教室には先刻の少女の他に、台本を握った少年とビデオカメラを覗く少女がいた。

 「クルミくん!!! どうだね!!!!」

 少年はビデオカメラを覗く少女に尋ねる。

 「野球部の声しか入ってません!!!!」

 クルミと呼ばれる少女は答えた。

 「ということは」

 「はい!! 撮り直しです!!」

 はつらつとした楽しげな声だ。

 きっと、映像を撮るのが楽しくてならないのだろう。

 「もう勘弁して~!」

 被写体を努めていた少女が顔を両手で隠しながら言った。

 その姿には情緒やアンニュイさはなく、ただ慣れない演技に恥ずかしがる年不相応の少女であった。




 

 

 

 

 

 

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