第33話 ボロボロな時雨
私の名前は、
どこにでも居る一般ピーポーであり、至って平凡。そして無難をモットーに生活する女子高校生だ。
「うっ…………」
──う、嘘です。
わ、わ、私は大手VTuber事務所『Zwei』から最近デビューした新人VTuberの『天月 カグレ』………その中の人の雅坂 時雨です。いや、私なんてバカ時雨、ゴミ時雨なんです。
…WiFi?なんそれ?というくらいの田舎から特待生で上京した田舎モンで、友達なんて一人もいない根暗な陰キャクソゲーマーだったはずだったんだけど…最近は妙におかしくなった。特にゲーム(スマファミ)をやっていると自分が自分で分からなくなる。ただただ楽しいという気持ちだけを優先して──結果怒りや憎しみなどのマイナスを人から向けられてしまう。
そうしてマイナスを溜めて溜めて溜めて、成敗➡声出しという結果に繋がってしまった。
「く、うぅう( ߹ㅁ߹)」
布団の中で頭を抱える時雨は悔し涙を流していた。
声出しを晒す。つまり、身バレの危機に陥るかもしれない可能性が出た。高校生でVTuberはグレーゾーン、情報社会、SNS社会のこの世界ではデジタルタトゥーになり兼ねない。更に高校にバレるのだけは中々に厳しいものがある。更に天月カグレは既に何度も放送事故をやらかしており、Zweiの会社的にもマイナスイメージの追加ダメージは免れないであろう。
全く、何をやってるのだろう。自分の私欲を肥やす為に天月カグレを使い、結局敗北した。勝者は得、敗者には何も残らない。
1度でも負けたら視聴者さん達が離れて行くかもしれない…その覚悟でやって来たつもりだった。
終わり?もしかして天月カグレという存在は…?
絶対にありえない事だとしても、そう思ってしまう。
「い、一体…どうすれば良かったんだろう」
真っ暗な自分の部屋。最近はまともな生活を送っていなかったせいか部屋には飲みかけのペットボトルや空の弁当が転がっている。洗濯物も畳まれておらず、高校の制服は適当に脱ぎ捨ててあった。これこそ汚部屋というものだろう、家族に見られたら雷を落とされるレベルだ。
だが、そんなの気にならないくらい精神状態がボロボロな時雨。目は赤く腫れ、多分今は相当酷い顔をしているだろう。
高校生ながらも、学業と配信を両立し、努力を重ねて……ようやく夢のスタートラインに立って、最高のVTuberに向けて突き進む。
ついでにお金も稼いで((´^ω^))ウハウハな人生を歩みたかった。
今じゃ、怖くてSNSも開けないし、スマホの着信も恐ろしくて出れなかった。どんな炎上が起こっているのか検討も付かないからこその恐怖であった。
────おそらく、配信が終わってから数時間が経った頃。時間は深夜。いや、そろそろ朝日が出てくる時間帯だろうか…?
時雨は夜通し泣きじゃくっていた用で、睡眠不足と水分不足で頭痛にも襲われていた。
そんな時─────ピンポーン!
「:( ; 'ㅂ';)ひっ!?」
こんな時間に来客っ!?もしかして声バレからなんやかんやで身バレして視聴者からの凸!?(*´・д・)!?
な、訳ないか………流石に。早すぎるし。常識的にありえない。うん、大丈夫。きっと、誰か知り合いとかだ。家族の可能性だってある。間違いの可能性も大いにあるし…………
────ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン
2回目のインターホン(3連続)が鳴り流石に出ない訳には行かない時雨は慌ててベットから飛び上がり、よろよろとぎこちない足取りでインターホンのモニター画面を見る。そこには………
「え……えぇぇ、!?」
まさかの………いや、そこに居たのは恐らく今、時雨にとって1番適切な人だった。
深夜なのにも関わらず、いつも通りピチッと決まったスーツ姿。更には両手に大きな荷物を抱えたキャリアウーマン…………
「う、ぅっ……佐々木さん……っ」
そう、天月カグレのマネージャーである佐々木さんがそこには立っていた。
『雅坂さん、いるのは分かっています。理由はどうであれ、借用弁明の機会をあげるので聞かせてもらえるかしら?』
っ……………あ、終わった………
ぐっちゃぐちゃな感情なんて露知らず、物語は進む。
時雨はただただ立ち尽くすことしか出来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます