第七話 円卓会議
円卓会議①
七海の覚醒と同時期、特異局某所にて上層部による会議が行われていた。こうして世界中のS級職員が一堂に会するのは、実に半年ぶりになる。
「ですからぁ、
「まぁまぁイヴちゃん。せっかくの可愛い顔が台無しだよ? ほら、笑顔笑顔!」
「うるさいわよルーカス。会議中に軟派なんていい度胸してるわね」
「おっとごめんごめん、場を和まそうと思ってさ。あっ、ひょっとして嫉妬かいセルマ?」
金髪に端正な顔立ち、軽い口調で話すルーカスの態度にセルマは苛立つ。
中東を主要とするアジア諸国を主として活動する褐色の彼女は、軍人と商人の二つの顔を併せ持つ。自由主義で芸術肌の女好き、である彼とは犬猿の仲だ。
そんな二人の様子を察してか老体はゴホン、と咳払いをする。
「状況を整理しよう。説明を頼む、エマ」
特異局局長:オリヴァ・マーティン。S級の現役職員でもありメンバーを統括する
「はい。レイド星へ赴いた外交官は現在失踪中、回収した
「遺体や遺留品すら見つからないということは……何者かの仕業ですか?」
べネップ・バロン・ウィリアムズ。黒色の肌に穏やかな顔つき、アフリカを主として活動する彼は宇宙医学を専攻している現役教授であり、S級職員の中で最も温和な人物である。
そしてそんな彼の質問に対して局長ではなく、隣に座る糸目の男が答えた。
「そんなの決まってるヨ。レイド星の仕業ネ!」
そして彼の言う通り、今回の件は侵略惑星が大義名分のため、地球に対して仕組んだ罠である可能性は高い。むしろ本筋であり、その理屈に他職員も異論は無かった。ただ約一名を──除いて。
「因縁吹っ掛けるために、ってのはありえる話ね。でもみんな、最悪の可能性を見落としてるわ」
「ほう……興味深いね。なんだいそれは?」
ルーカスの質問と共に部屋は静まり返る。必然的に視線がセルマへと集まる。そして彼女は少し考える素振りを見せ、わざと間を置いて語った。
「この
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