2023/04/11 世界が変わる

 役所で手続をしていたら、あっという間に3時間も経っていた。

 広い建物内をあちこち歩き回る羽目になった。僕が病弱だから、するべき手続がいっぱいあるのだ。

 どれも生きていくには必要なものだけど、この煩雑さだけはどうにかしてほしいと思う。

 病弱な人間にこれは本当にきつい。

 健康な人とはこういうところで世界が違うのだろうな、とふと思った。


 ウォーターサーバーを頼んだので、それを受け取って、設置に四苦八苦していた。

 上京するまで、ウォーターサーバーなんて、リッチな家庭にしかない、お水にこだわりのある人のためのものだと思っていた。つまり、贅沢品だと思っていたのだ。

 だって僕のいた札幌の街では、水道水は飲めるものだったから。

 しかし、東京は違う。沸かす前の水はとても飲めたものじゃない。安全かもしれないが、ゴクゴクと飲めるようなものではない。札幌にいた頃のように飲んだら、具合が悪くなる。

 引っ越してすぐ、ためしにと水道水をそのまま飲んでみたら、ウォーターサーバーを手配した同居人の慧眼に心から感謝することになった。

 東京に住んでいる人に怒られそうな感想だけれど、グルメとかお水にこだわるとかそういうんじゃなくても、本当にダメだった。


 そしてどうにかウォーターサーバーを設置し、ためしに飲んだお水が美味しくて、僕はほっとしている。

 周りに、繰り返し「生水は飲むな」と言われたことも影響はしているが、身をもってその真実を知った。本当に、飲めない。


 今までは小説の中で「水道水なんて飲めない」とかいう台詞があると、「箱入りのお嬢様かな」と思ったものだけど、もうそうは思えない。

 少なくとも僕は今、ウォーターサーバーをプラスアルファの贅沢品なんて思えない。生活になくてはならないものだ。


 世界が違って見える。

 だけど、ここで生きていくと決めた。やれるだけのことは、やっていく。

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