遠いところ

今更、遅いのかもしれないが、他人に手紙を書いている。遠距離恋愛。命の終わりが近づいているので、何かを残さなければならない気がしている。

しょうがないですね。

過去を振り返ると寂しい。もう泣くだけの悲しみが残っていないのだ。

風の中で言葉をついばみたいと思う。道端にあるようなささやかな言葉が。時間は流れるが、思いのほか遅い。

何もない部屋にいるのは、防御ではなく涙だ。外界との触れ合いが恐ろしいから逃げている。

すばらしい居場所がどこかにあるのだという。

教えてください。

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