第4話おまけ①【夢の中で】





 おまけ①【夢の中で】














 「あっそぼーぜ!!!」

 「李、すでに服が汚れてるぞ。何してたんだ?」

 「泥んこかまくら作ってた!!」

 「泥でかまくら作ったのか?作れたのか?」

 「作れなかった!水が多すぎてダメだった!まず天井から作ろうとしたんだけど、ダメなんだ!俺に降ってくるんだ!泥が!!」

 「・・・・・・そうだろうね」

 「死神は何の本読んでるんだ?遊ぼう!」

 「拓巳は?」

 「拓巳はわかめごっこしてる」

 「なにそれ」

 「こう・・・うねうね~ってやってる。馬鹿みたい」

 「お前が言うな」

 「何?」

 「あ!拓巳だ!遊ぼう!」

 「何するの?」

 「んーと、鬼ごっこ?」

 「どこまで逃げていいの?」

 「どこまでって?」

 「いや、逃げていい範囲」

 「・・・どこまででもいいんじゃない?」

 「「だめだよ」」

 「なんで?」

 「だって、どこまでもって、隣町まで行ってもいいのか?国またいでもいいのか?そんなわけないだろ?」

 「そもそもそこまで体力あるの?」

 「知らんけど」

 「じゃあいいじゃん。その辺は適当にしておこうよ」

 「でも、それじゃいつまでも鬼が捕まえられないかもしれないし」

 「人の家は入ってもいいの?」

 「よくない」

 「なんで?」

 「迷惑だしびっくりするだろ。知らん子供が家に入ってきたら」

 「チャイム鳴らすよ?」

 「そういう問題じゃない」

 「じゃあかくれんぼ」

 「それもどこに隠れてもいいんだろ?」

 「そりゃそうだよ。それがかくれんぼじゃん」

 「だからって、知らない人の家にあがりこまれたら探せないし。隣町にまで行かれたら諦めるし」

 「えー。じゃあ何するの」

 「大人しくケンケンパでもしてなよ」

 「え、俺だけケンケンパなの?」

 「だって李はルール守らないし。てかルール広げるし」

 「じゃあいいよ。1人で遊ぶから」

 「・・・・・・」

 「・・・・・・」

 「・・・・・・死神」

 「なに拓巳」

 「李何してると思う?」

 「・・・さあ?」

 「俺が知ってる中で、ああいう風に遊ぶものは無かったと思うんだけど」

 「・・・・・・うん」

 「あれ何してるの」

 「・・・・・・泥の山に突っ込んでる。頭から」

 「苦しくないのかな」

 「さっきより奥に進んでるね」

 「髪の毛すごいことになってるだろうね」

 「顔もね」

 「服もね」

 「ミミズみたいな動きしてる」

 「もしかして、あの泥の山にトンネルでも作ろうとしてる?」

 「え。無理じゃ無い?」

 「うねうねしてる」

 「窒息しそうでもがいてるのかな」

 「足がバタバタしてないから大丈夫だと思うけど」

 「判断するのそこなんだ」

 「泥が崩れて生き埋めにならなければいいけどね」

 「助ける?」

 「・・・ちょっと声かけてみようか」

 「「李・・・」」

 「出たどーーーーーーーー!!!!!」

 「うわっ」

 「泥飛んだし!」

 「はははははは!これでやっと泥のかまくらが作れるぞ!!!!」

 「李、泥はねた」

 「てかすご。真っ黒」

 「リベンジだ!!!絶対に泥のかまくらを作ってやる!!ちょうどいい感じに水抜けてたし!!!!」

 「李、泥」

 「トンネル掘ろうとして死にかけてたんじゃなかったんだ」

 「違うよ。見ればわかるじゃん」

 「「わかんないよ」」

 「ここから少しずつ穴を大きくしていけば、絶対にかまくらが出来る!!!」

 「李、なんでそんなにかまくら作りたいんだよ」

 「しかも泥で」

 「しかも夏に」

 「なんでって、3人で涼もうと思って」

 「「・・・・・・」」

 「泥って気持ち良いじゃん。冷たくて」

 「「・・・・・・」」

 「中でかき氷作ってー、風鈴鳴らして―、スイカ食べて―、着物と草履に着替えてー、あとなんだろう?まあ、夏っぽい感じになってー、花火するの」

 「「・・・・・・」」

 「なんで2人して黙ってるの?」

 「いや、なんていうか」

 「うん、なんていうか」

 「あー!わかった!泥で汚れたくないとか言うんでしょ!そんなんじゃ人生楽しめないよ!」

 「・・・どのくらいで出来そうなの、かまくら?」

 「んーとね、とりあえずまた頭から入って、今度は中でこう、頭をね、ぐいぐいって上にやってね、形を作っていくんだ」

 「時間かかるね」

 「明日もやればいいじゃん!」

 「明日雨だって」

 「じゃあ、今日中に完成させる!」

 「今もう夕方6時だけど」

 「あれ?もう?」

 「そろそろ帰らないと」

 「そっかー。残念!まあいいか!まだ人生の時間はたっぷりあるし!!!じゃあな!またな!明日も遊ぼうな!」

 「・・・明日雨だって言ったのに」

 「変な奴」

 「な」

 「でもなんか」

 「ん」

 「「面白い奴」」





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