第25話 焚翔先輩
翌日、先輩が来るのを待っていた。
「詩。」
「先輩!おはようございます!」
「おはよう。ん。」
先輩は私に手を差し出してきた。
手を繋ぐことはすぐにわかった。でも、ちょっと意地悪したくなって…
「え?なんですか?」
「手っ」
「手がなんですか?」
「…お前、分かっててやってるだろ?」
「あ、バレました??」
「お前のことならなんでも分かる」
「そうなんですか?」
「分かるようになってきた。それと、敬語と先輩は止めろ」
「でも…」
「付き合ってんだろ?」
「そうですねっでも、いきなりはあれなんで、少しづつでもいいですか?」
「もちろん。まずは、焚翔って呼べ」
「焚翔…」
「いいじゃ…」
「先輩」
「なんでだよ!」
「まずそこからにさせてくださいよっ」
「わかった。」
何とか先輩に理解してもらって、私たちは手を繋いで登校した。
学校に着いた私たちは他の生徒たちから驚いたような目で見られていた。
そりゃそうだ、あのヤンキーな焚翔先輩と私が仲良く手を繋いで登校してるんだもん。
「あっれー?焚翔。なんで詩ちゃんと手なんて繋いでるのかなぁ???」
「見ればわかるだろ」
「俺、わっかんなーい!」
「付き合ってんだよ」
「いつの間に?」
「昨日告白した。」
「詩ちゃん、本当に焚翔でいいの?」
「はい!焚翔先輩がいいんです!」
「焚翔先輩とか呼び方も変わってるし!!焚翔ムカつく!!」
「なんでだよ…」
私たちは昇降口に着くとそれぞれの教室に向かった。
「詩!八神先輩と付き合ったんですか!?」
「うん、昨日告白されたのっ」
「おめでとうございます!」
「羨ましい!でも、おめでとう!」
由莉と咲枝から"おめでとう"と言って貰えて嬉しかった。
でも、私はこの時。今後のことを考えると不安になった。
一ノ宮先輩たちに何されるか…
そんなことを思いながら今日一日が無事に過ごせることだけを考えることにした
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