第12話 忠犬ハチ公の日/『忠犬』
ほんの少し小雨が降ってきた。自分だったら気にせず歩いて帰るのに傘を持って立ち上がった。赤い傘を手に持ち、駅で待つ。大切な人に風邪をひかせるわけにはいかない。
迎えに行ったご褒美は、氷のように冷たい視線と赤い蝋燭……熱くたぎった。
「おい、犬!」首輪をグイッと引っ張られて光悦とした。
◆4月8日は「忠犬ハチ公の日」/2023年4月8日作
#140字小説『忠犬』
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