第5話 あんぱんの日/『甘い干し柿は渋柿で作られている』

君の好みは渋かった。

グミじゃなくて干し柿。チョコじゃなくて羊羹。

購買で惣菜パンが買えなくて、屋上で仕方なくあんぱんを食べ終わった僕の口にカリカリ梅を放り込んだ君。

口を窄めた瞬間唇が触れた。

「いい塩梅になったでしょ?」

言葉遣いまで渋い。

口の中のしょっぱさがまた甘さに変わった。



◆4月4日は「あんぱんの日」/2023年1月20日作

#140字小説『甘い干し柿は渋柿で作られている』


※#monogatary 1月20日のお題 「塩梅」で創作した

 140字小説の一部を編集しました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る