第8話 働き蜂
ベッドから這い出ると
着替えもせずに外へ出る
手に持っているのは
焙煎セット
キャンプ用のガスストーブに炎を着け
焙煎用のザルに生豆を入れる
これを台所でやったなら
茶布が散乱し
朝から怒られ
大切な朝の時間が台無しになってしまう
だからと言って
嫌々ながら外へ行くのではなく
喜んで外へ出ている
程良く煎られた豆を
珈琲ミルに入れてハンドルを回す
部屋いっぱいに珈琲の香りが漂いだす頃
一人目の住人が
眠たそうな目を擦りながら起きてくる
私は珈琲を淹れて
「召し上がれ」
と言う
その住人は
少しだけ笑って頷くが
私は素知らぬふりをして
花の水やりの為に再び外へ出る
陽射しを浴びて輝く水の下
気が付けば働き者の蜂が
美しく咲いた花の上でホバリングしていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます