ラジオ配信回2
「こんばんは。ぬいぐるみ系VTuber、猫乃わん太です。今日はリスナーからの質問に答えるラジオ配信でお送りします」
いつになく真面目に淡々とした口調を意識して本日の配信を開始した。
❤[え? かっこいい?]
◯[眼鏡っていうか、なぜに
◎[初見です。この配信は割りと固い感じですか? けど犬?]
「初見さんいらっしゃいわん。今日は、わん太先生と呼んでわん」
△[途端に軽くなったw]
❤[わん太せんせー、どうしてモノクル?]
◎[あ、そんなノリw]
「今日は質問に答えるから先生っぽさを出して、メガネをクイッとしたかったんだわん。でもね、ボクの耳は頭上にあるので普通のメガネが掛けられなかったんだわん……」
そういえば、電話とかも困るよね。
◯[草。そもそもモノクルを掛けられてるのも謎だが]
△[そこはVTuberの謎技術でよいんじゃないかな、しらんけど]
「さて、それでは最初のお便りです。ラジオネーム『魔法大好き』さんからの質問です」
『魔法を使いたいのですが、上手くいきません。というか、全く使えません。どうしたら魔法が使えるようになりますか?』
「お、中々良い質問だわん。そういえば、リスナーの中で魔法、あ、魔術でも良いけど使える人はどれくらいいる?」
▽[まだ、30になってないから使えないし……]
❤[魔法少女とか羨ましいようなそうでないような]
∀〚一応使えるけど、
「魔法使える人も少しはいるけど、そう多くはなさそうだわん」
◎[え、マジで使えるの? 使える人がいるほうが驚きだが?!]
∈〚使える人もいないことはないけど、極稀にゃ〛
そうそう、普通は使える人の方が少ないよね。
「投稿者さんの質問はどうしたら使えるようになるかってことだから、その辺を答えていくわん。とはいえ、ボクも詳しい訳では無いから有識者の人がいたら教えてわん」
∀〚わかる範囲ならコメントするわ〛
★〚こっちの魔法の範疇ならコメントできます〛
「お、ありがとわん。まず、魔法が使えるかどうかですが、大事なことが一つ!
世の中が物理法則で成り立っているように、魔法には魔法の物理法則?がある。
「ほら、豆電球をつける実験には乾電池からの電気が必要なように、魔法を使うには
▽[豆電球w]
◯[今どきはLEDなのでは?]
「LEDは二分の一の確率で点灯しないから駄目わん……」
足の長さなど関係ないのだ。
「ともかく、電気のない世界で豆電球はつかないように、
△[ある前提w え、もしかしてホントはあるの?]
∀〚あんまり
「まず、
★〚そうそう、魔力操作がすべての魔法の基礎だからね〛
∀〚
∈〚魔力操作スキルだけでは魔法は使えないのにゃ〛
「魔力操作だけでもボクみたいに魔法陣の発動はできるんだわん」
ちょっと実演するべく、白い画用紙とコップを取り出す。
◯[ん? 画用紙……とコップ?]
❤[お絵描きではなさそう]
「折角なので実演するわん。まずは何も書かれていない画用紙。ここに魔法陣を描いていくわん」
まずはコップの縁を使って綺麗な丸を描く。
「使うのは魔石を砕いて溶かしたインクとペン。コップを使うと綺麗な丸が描けて便利わん」
丸に沿って三角や四角、また、特殊な文字などを描き加えていく。
◎[魔法陣っぽい]
∀〚魔法陣描けるのか〛
★〚それ知らない魔法陣だ。自分で開発したの?〛
「教えてもらった魔法陣を解析して手を加えたやつわん。描き方もだいぶわかってきたからね」
魔法陣はプログラムや回路図みたいもので詠唱と同じくきちんと描けば魔力を流すだけで発動する。
△[ほほー、魔法陣完全に理解した]
◯[それで、その魔法陣を使うとどんな魔法が発動するの?]
★〚防御系っぽいけどわからない効果が描き込まれてそうで気になる〛
最後に軽く魔法陣を定着させて完成っと。
「できたわん」
∈〚何の魔法陣なのにゃ〛
◯[そもそも、魔法陣とはいえ魔法使えるの?]
★〚こっちでなら魔法陣も使えるけど、わん太さんの家ではどうなんだろう?〛
「そじゃあ、この画用紙を丸めて……」
円錐、つまりはアイスクリームのコーンのような形を作る。
「魔法陣に魔力を流します」
薄っすらと画用紙が光った。
◎[えっ、光った?!]
★〚流れるような魔力操作、わん太さん流石です〛
「ふふん、そしてこの画用紙を傾けると……」
空っぽだったコップに水が注がれた。
❤[わん太くんすごーい!]
◯[おお、流石魔法……?!]
◎[いや、ただの手品だろそれは!]
「それでは、次のお便りです――」
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