携帯を持ってなくて連絡が面倒いと言う理由から幼馴染から省かれる

激 辛

第1話

俺の家は貧乏だった。


 親が離婚して母子家庭で、妹も一人いる。


 「ごめんね、本当は携帯とか買ってあげたいんだけど」


「・・・」

お母さんは俺に対してそう言っている。多分普通ならこう言う時、(大丈夫だよ、そんなことよりも無理しないで、いつもありがとう)等と話すべきなのだろう。


 ただ俺はそんなことを言えるような人格者ではないのだ。


 普通に携帯は欲しいし、そもそもお金が少ないのは俺は普通に嫌なことだし、離婚してしまうことについては、正直子どもに対して無責任だなと感じる。


 「せめて、妹には良い思いをさせてあげて」

だから、俺は決して母親には優しくしない。



ーーーーーーーー


 高校生の俺には同じ学校の幼馴染が5人いる。俺含めて仲良し6人組だったが、もうそんなことは無い。正直理由はこれだ。

 

 「ねぇ、島は携帯買わないの?」

 幼馴染の美織だ。


「欲しいよ、でも家が金ないから無理だよ。知ってるだろう」

 欲しいと何回も小学生の時から聞いてるはずだ。


「そうなんだろうけど、携帯無いと誘うのめんどくさいんよ。」

 最近こんな会話がいつもだ。


 「だって、妹ちゃんは持ってるんでしょ。」


「あれは俺もバイト代払ってるからなんとか出来てるんだよ。」

 妹はその事実を知らない。因みに妹は俺のことを嫌っているから、携帯を貸してくれない。


 「ふーん、妹より少しは私たちのこと優先しなさいよ。」


「いや、別に妹ばっかりじゃないじゃん。可能な限りはみんなと遊ぶ時間取ってるだろ?」

 最近、俺への連絡をめんどくさがって、誘う相手から省かれることが大半だ。


 「まぁ、でもやっぱり素直にやっぱり私達を優先してくれる訳じゃないんだ、なんか冷めたな。」

 そして、冷たい目をして。


 「私ももう高校生だからさぁ、ずっと古いことしか出来ない島ばっかりとは遊べないよぉ!」

そう言って他の幼馴染のところに行った。


 最近、みんな明らかに俺を嫌ってるわけじゃないが、学校で話しかける回数も減り始めている。

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