その21。「公爵家当主登場!!」
フレイアに担がれて帰宅。
「———セーヤ? どうして勝手に『禁忌樹海』なんかに行ったの? あの場所は立ち入りは禁止のはずですよ?」
「セーヤ! 私の専属執事でありながらどうして私を置いていったの!?」
散々フレイアに説教されたのにも関わらずママにも怒られ、シンシア様にはよく分からない怒られ方をされた。
どうして俺が『禁忌樹海』に行ったってバレたかは一言も話してもらえなかったが。
「……そんなに怒らないでいいじゃん」
「勝手に出て行った主が悪い」
「だって、あまりにもイライラしてたんだもん……」
結局2人に更に1時間程怒られた後、俺は自室にて愚痴を溢していた。
それを聞いているフレイアには呆れた様に半目で見られているが、気にしないフリをしている。
「その者達はクビにされるのだから良いだろう? 母君もお怒りになっていたではないか」
「まぁ、それは嬉しかったけど……」
説教の時に何故あんな所に行ったのか理由を問われた時に、今日の事をママに話した所、「…………その者達を即刻私の前に呼びなさい」と真顔で瞳のハイライトを消して言うママには、他のメイド、執事、果てには俺やシンシア様も震え上がった。
そう言えば呼ばれた3人も顔を真っ青にして絶望した様な表情になっていたな。
その時は「ざまぁ!」と結構スッキリした。
まぁその代わり人が減ったから急いで公爵邸宅を案内してもらい、何個か仕事を任されたが。
最後の最後まであの3人の尻拭いをしなければならない状況は大変遺憾だった。
「さて……そろそろ行くかぁ……」
「シャキッとしろ主。いまの主には威厳が微塵も感じれんぞ」
「だってさぁーー公爵家当主との対面なんて嫌に決まってんじゃん。それも悪役令嬢のさ……」
そう———これからシンシア様のお父様で、シルフレア公爵家現当主のアルベルト・フォン・シルフレアに会わなければならないのだ。
何やら禁忌樹海に行った事が耳に入ったらしく、急遽呼ばれてしまった。
「……ちっ、全部あの3人のせいだ……」
「今回のは主が全面的に悪いと思うぞ。人のせいにするでない」
「そんな指摘は要らないの! ……よし」
俺は覚悟を決めて当主のいる部屋へと向かった。
コンコンコン。
「誰だ?」
「セーヤ・フロントと申します」
「ああゾーラとアリアの息子か。いいぞ、入れ」
俺は緊張で体をガチガチにしながらも、ノックをしてお許しが出たので中に入る。
そしてなるべく目を合わせない様にしながら座ると、そこで初めて目を合わせる。
「———セーヤ・フロントで間違いないな?」
「はい」
こっわ。
「つい先程まで人類未到の地である禁忌樹海にいたそうだな?」
「はい」
目の前にはイケメンだが強面の40くらいの男———アルベルト・フォン・シルフレアが座っており、その怖さに俺は半ば「はい」としか言えないロボットと化していた。
しかしそんな事気にしないと言った様にシンシア様のお父様は質問を続ける。
「超越種にも会ったと?」
「はい」
「それでペットのドラゴンに助けてもらった」
「はい」
「そのペットはセーヤが助けたのか?」
「はい」
「我が娘は好きか?」
「はい———って違ぁああああう! 何て事言うんですか!?」
俺は突然頭のおかしなことを言い出したお父様に思わず立場を忘れてツッコむ。
俺がそう言うと、出会ってからずっと無表情だったお父様が初めて笑みを浮かべた。
「さぁ、話をしようか」
……一つだけ言わせてくれ。
お父様の笑み怖い……。
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