第6話

桜宮視点

 私のキックーが掃除で遅くまで残っている。


 「キックー、そういえばこのクラスってオタク多いよね。」

 このアニマキャラのキーホルダーを付けている子が多い。前の学校では数人居たけど、このクラスは多い、それにアニメの話もする。


「あ、ごめん言うの忘れた。」

 

「??」


「春って漫画好き?」


「好きだよ!タッツーに影響されて。」


「あっやっぱりそうだよね。こっち来て、ここ」

 誰も使ってないロッカーがある。


「この空きのロッカーがどうかしたの?」


「ほら」


「うわぁ、漫画いっぱいそれに雑誌も!!」

 漫画と雑誌が一杯ある。そして横にホワイトボールが書いてある。

「これもタッツーの提案でさ、漫画と雑誌の回し読みをクラスでやってるの。桜宮さんも読みたいならここにお金払ってね。一応買う漫画はこっちの表に書いてある人気が高い順に優先に買ってる。」

 

「へー、凄いね。相変わらず。」


「そう!あ!い!か!わ!ら!ず!ね!」

キックーは私に何かの念を押すように話す。そして二人で笑った。

 

「これ、先生に秘密だから隠してね。」


「分かった。そういえば漫画は誰が買ってるの?」


「確かに、いつも知らない間に増えてるんだよ。って、え、、、

先生。」


「あ、」

後ろに先生がいた。そして、本をそこに置いて、雑誌を取った。


「買ってくるのは俺だぞ。企画者のタッツーに俺は買ってくることと見逃すことでただで使わせて貰っている。」


流石、タッツー楽しむことに全力で頭を使う男。そんなところも良い。


「これ、他の先生には言うなよ。まぁバレても問題にはならないと思うが、先生としてのポリシーがあるからな。あと勿論生徒達にも秘密だ。」


ーーーーーー

 忘れた思い出。


  捨てられた本の溜まり場。

 「タッツー、そんな本を読んでるの?」

 

 その表紙は当時の私が初めて見る分には早すぎた。

 「だってほら、面白いよ。」


私はすぐに夢中になった。


 たまにこうしてタッツーと新しい本を読みに来る。

 間が開いた会を見つけて読むと感動してハイタッチをしていた。


 昔はその本の溜まり場が秘密基地のようで楽しかった。

ーーーーーー 

 

  ここにもあったな、小さな秘密基地。

   バレてるけど

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