第3話
義妹視点
お兄ちゃんはさっきから部屋から出てこない。やっぱり落ち込んでいるんだ。
「馬鹿アニキ!そろそろ出てこい。」
「ごめん、今出るね。」
部屋から出てくる兄の顔はとても絶望した顔だった。
そうだよね。ずっと目指してたんだんもん。叶わなくて可哀想。
「呼んでくれて、ありがとうね。宮」
お兄ちゃんは私の名前を呼びながら頭を優しくなでてくれる。
「やめてよ!恥ずかしい!」
「ごめん、ごめん。それより、呼んできてくれて悪いんだけど、家族みんなに言いたいことがあるから、ついて来て。」
お兄ちゃんは覚悟を決めた顔をしている。ただ、いつもの私の好きなお兄ちゃんの覚悟を決めた顔よりも暗い。
ーーーーーー
お兄ちゃんは、私たちに伝えたいことがあるみたいだ。
「お母さん、お父さん、お姉ちゃん、宮。今まで本当にごめんない!」
お兄ちゃんは頭を下げる。
私を含めて家族は驚いた顔をする。
「今まで何度も今回のような事態が起こることを想定して辞めるように注意して下さったのに、自分が夢を諦めきれずに暴走してしまいました。」
「いや、息子よ。流石に夢だったから仕方ないと思うぞ。」
普段はお兄ちゃんに厳しいけど今日は優しいようだ。
「ありがとうございます。まだ一つ伝えてないのですが、今のお父さんのように夢を諦めきれない僕に辞めることをお勧めしながらも応援してくださりありがとうございます。」
お兄ちゃんの感謝に私は思わず言葉が出てしまう。
「馬鹿」
「本当に今回のでわかりました。僕は諦めて別の道にしようと思います。」
??????????
家族は驚いく、私も含めて。
お兄ちゃんは今まで夢のことだけは何一つ譲らなかった。
「馬鹿アニキ!諦めるって本当なの?」
「はい。応援してくださいありがとございました。宮の言う通り、馬鹿な俺は勉強しても無理そうなので、諦めようと思います。」
お兄ちゃんはこんな嫌味のようなことは言わない。何よりそんなことを言う性格じゃない。きっと今のもそんな気は無く、天然だったのだろう。
義母が
「諦めるにしてはまだチャンスはあるのよ?」
「はい、でも無理だと分かりました。」
「お前の夢はその程度だったのか?」
義父
「はい、そうだったみたいです。今までこの程度の覚悟なのにずっと調子に乗っておりました。ごめんなさい。」
お姉ちゃんが、
「本当に、本当に勇者はそれでいいの?」
「はい」
「お兄ちゃんの馬鹿。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます