1話:TS病って実在するんですね。

 梓の女の子になっちゃった事件から数時間が経ち、梓はかなめに連れていかれ病院へ連れていかれた。しかも、産婦人科に弱冠17歳の男?が女の姿になって入るのに謎の背徳感を感じてしまった。


「か、かなめ。これ問題ないのか?お、俺曲がりなりにもお、男だったんだぞ?」


「そんな内またでもじもじしている子が、どこから男だと思えるのかしら?」


「そ、それを言われたらぐうの音も出ないよっ!!」


「「「「………」」」」


梓の家で出す声を同じように出した結果、周辺にいた妊婦さんのつっめた~い視線とうるさい!!と説教するようなまなざしが混ざった瞳にさらされながらかなめと梓は座椅子で縮こまっていた。


数分後、梓はかなめに引っ張られながら診察室へ連れていかれるのだった。




「えぇっと…男が、女の子になった?ってことであってますか?竹中さん。」


「はい………。朝起きたら突然息子18㎝と別れを告げたもんだから膝から崩れ落ちましたっ!!」


「・・・竹中さん。今の容姿だとものすごっく犯罪的に聞こえるんで言葉選びをお願いします。」


「??」


医者にまず、女の子になったことを梓は伝えると、医者は医者で困惑した声色で質問を繰り返したが、もう何もかもが支離滅裂なせいで医者は頭を抱えて投げやりに梓のことを検査入院にすることにして梓は要と一瞬のお別れになった。




「あぁ~慰めてぇ~。今、ものすっごく欲が湧き上がってるんだけど~?」


「梓さん、駄目ですよ。女の子の快感は男の人のアレの刺激よりも百倍強く来ますから。女の子生活の短い梓さんじゃ『食ってみな、飛ぶぞ。』みたいに意識があちらの三途の川に直行ですね。」


欲を解消したい梓は独り言のように呟いていると、担当の看護師さんがやった後のことを説明してくれた結果、いろんな意味で梓は萎えていた。


しかし、お気づきだろうか。


 この看護師は梓の部屋から15mいた位置から突如として話しかけたのだ。地獄耳にしても大層なものである。




そして、梓は死んだ目をしながら様々な検査をした。その中にはバリウムを飲んで胃カメラまでやることになっていて、梓は死んだ目をしていたとか。



 ひっそりとして静寂に包まれた病室のベットで梓は月明かりに移された花の入っていない花瓶を眺めていた。


「・・・はぁ。」


たった一人しかいない病室で溜息が一つ浮かび上がった。彼女の明るさからはかけ離れている疲れたため息だった。


背中は小さくなった。自分の体はどこかに葬られた。気が付けば性別すらも剥奪された。不幸なのかもしれない。梓の心の中は少しずつ不安な色に染められていく。でも、それに本人は気が付くことができない。


ただ、腐敗して侵食されるのを気づかれずに蝕んでいく。




翌日、梓は退院して少しの間自宅療養を言い渡された。学校に至っては数か月ほど休学にしてもらい留年ということは無いように憂いを絶っておいた。


 数日後、再びかなめに引っ張られて産婦人科に強制連行された。今回はさすがに抵抗せずにおとなしく座っていた。


数分後、診察室に呼ばれると、そこには前日会った時よりも顔がげっそりしていた。


「あ、あの~大丈夫ですか?お医者さん。」


「あっ、あ~………大丈夫ですよ。ただ、ごめんね君の話を聞いてからいろんな資料を探すのに3徹しちゃってね。ちょっと体に糖が回ってないだけだから…………。」


それは大丈夫というのだろうか・・・まぁ、大丈夫か。(どこが?)




「あ~。とりあえず、梓さん。君に受けてもらった検査の結果体に異常は一つもなかったよ。」


「そ、そうですか。じゃあ、俺は一体どうして女の子になったんですか?」


「そこだね、それなんだけど。一つ確証がないから推測になるけど、聞くかい?」


医者の少しだけ含んだ言葉に対して梓もかなめも少しだけ言葉を詰まらせざるを得なかったが、首を縦に振って言ってもらうように促した。


「そうだね、言おうか。梓さん、君はTS病というものを患ってしまったと見受けられる。」


「「???」」


「まぁ、言われてもわからないだろう。・・・そうだな。梓さん。君は漫画とか読むかい?」


「あっ、はい読みますよ。それが何か関係してるんですか?」


「いや、そういうのではないんですけど・・・多分ですねこの病気は漫画である男の子が女の子になっちゃった~ってやつでしかも、治療法がないので残りの生涯を女性として過ごしてもらいます・・・」


…………………


………………


……………


…………


………


……



「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええぇぇぇぇええ!?!?!?!?!?!?」」


かなめと梓はここ最近で一番の叫び声を発していた。

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