第13話別レ
「九條さん、生きてたのですか」
目を覚ました羅達に話しかける俺。
いや目を覚ました は可笑しい。まだ生きていたの方が分かりやすいか。
「奏多、わしはもうダメだ。」
突如最悪な言葉を放った羅達。
「なんでそんな事を言うのですか、俺の能力で」
「無理じゃ。」
即答してくる九條。再生眼を使えば一瞬な筈じゃ。
【再生眼】
能力を使った。だが九條には変わり様がない。
「何で。」
「わしが異世界に転移された時得た能力は、
人ヲ失ッタ醜蝶じゃ。」
【人ヲ失ッタ醜蝶】とは何だろう。
「人ヲ失ッタ醜蝶は言葉の通り、人ヲ捨てた醜い蝶と言う事だ。能力は強制停止能力。人間による攻撃は受けず物理的な攻撃のみを受ける能力じゃ。だが自分の能力なら使える。」
「でも」
涙が溢れてくる。人の死はとても切ない物と今気づいた。
「最後に言い残す事がある。」
「はい」
「奏多。お前は強いとてつもなくだ。この世界で最強と言ってもいいだろう。だがな調子には乗るな。馬鹿げた事をするな。それを使っていいのは人を守る時そして、自分を守る為に使え。決して人を意味もなく傷つけるな。そしてお前には一つ足りないものがある。大切なものを作れ。何でもいい。それは奏多、お前の価値を証明してくれる。最後に
わしに【代償転換】を使え。」
「そんな」
「やれ」
威圧がくる。
「はい」
【代償転換】
「奏多、お前はわしの世界で一番の弟子じゃ」
その一言を残して去っていった。」
耳が聞こえない。どうしてだろう。そう思っているとその原因に気づいた。叫んでいたのだ。耳が聞こえなくなるほどに。
悔しい、涙が止まらない。笑えない。
「もう今日から俺は笠井奏多じゃない。」
自分を捨てる為に。新しい日々をスタートさせるために。
「今日から俺は、九條奏多だ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます