第10話一年後

一年がたった。


俺は早くも真武術を全て取得し、基本的な力をつけた。


そして今日は九條との卒業試験。


「奏多、ワシを倒してみな」


「はい」


俺は頷く。


「来い」


俺は突っ込む。


最初の頃とは違う。


勢いをつけながら横に神速で動く。


『真武術 斬』


踵を四方に動かし斬撃を繰り出す技だ。


『真武術 堕極端』


羅達の周りに黒い呪いの触手が現れる。先が尖っていて当たったら死ぬ。


「これはお前の前で使ったことがなかっただろう」


「魔力の使用かよ。」


『真武術 火炎拳闘発』


「喰らえ!」


俺は叫ぶ。


俺の作った技 火炎拳闘発 は、魔力で手に炎を出し殴る。


俺と九條が同時に攻撃する。


衝撃波が周りに流れた。


衝撃波が流れ終わり、俺と九條は一緒に倒れた。


「やるじゃないか、まぁいいお前の勝ちだ」


「ありがとうございます」


涙が溢れて来た。


とても嬉しかった。


しかしその空間を壊すように銃声が鳴った。


目の前にはさっきの戦いと関係がなく倒れた九條がいた。


「嘘だろ」


俺の口から溢れた言葉をぶち壊すような叫び声が聞こえた。


「よくも夜迦さんを、殺してやる、殺してヤァるぅ」


その時俺は瞬時に理解してしまった。


そう九條は俺を庇ったんだ。


銃声が聞こえた時目の前には九條がいた。


悲しみと怒り、憎しみが溢れだす。


「奏多、お前が夜迦さんを殺した。」


「君は何故、こんな事を」


錯乱しながらも意識を保っている少女。 


「お前には大切な人がいるか?私にも大切な人がいた。最悪な人だ。残忍でとっても災厄な人だ。でもあの人は、夜迦さんは、私を守ってくれた。私を愛してくれた。でも一年前、私が昼ご飯を届けに行った時、そこには私との指輪だけが残っただけで、それ以外のものは全部漁られて、汚れていた。そして私の鑑定能力でそれを調べてみたら、奏多という名前が出て来た。

だからお前を殺す。夜迦さんの仇だ。」


気づいた、まただ。


あの少女は夜迦が死の直前、呟いた。


セツナ、という少女だったのだ。


証拠に少女が手に持っているのは元の世界の拳銃だったのだから。


苦しい、俺と少女の感情が相互にぶつかり合う。


「死ね」


そう少女が叫び拳銃の引き金を引こうとする。


抵抗したくない、俺が夜迦を殺した。


全部俺がやった。そんな時、



記憶が蘇った。最悪な記憶が。


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