第343話 そして、合格発表

昭和最末期の大学受験の合格発表。

今のように昼過ぎからネットでホイとはいかぬ。

もう、御覧の通りの掲示板に張り出されて、ね。

翌日には、地元の新聞に合格者の名前が載っていたよ。

高校入試もそうだったけど。


自由の森のかの少年。

結局、合格!

しかも、願書を早く出していたから、1番目に名前が載っていた。

翌日の新聞にも、名前が出ていましたよ、一番に。


彼のサークルの大先輩、倉敷の新設校の1期生だった方がいてね、

その方も、なぜかその高校の最初の年の1番に名前が出ていました。

かの少年の場合は、願書を一番かそこらに出しただけで、1番乗り。

寝袋にくるまって1週間も並んだりはしないけど、

ここで、1番乗りを達成できました。


そして彼は、合格発表を見たその足で、

なんと!

大学のサークルの顧問の先生の研究室に、挨拶に行きました。

こんな受験生もいたものよ、マジで。

それから、かの同級生の住んでいた職員住宅の向いの先輩の下宿にも。

あとは、短期里親でお世話になっていた方の家にも。


もうすぐ、この地に戻って来るからな。

彼の意識はすでに、ここにあった。


さあ、どうする、自由の森の職員各位。

丘の上のかの職員は、もはや、理想に酔っていられなくなった模様。


彼が就職した頃の園長はすでに死去しているし、

ベテラン保母も、既に3年前に退職している。

じいさんやばあさんらのいた頃のような姿勢では通用しないぞ!

園長はそこまで言っていなかったかもしれないが、

内心、そう思っていたことは想像に難くない。


ま、ぼちぼちやっていこう。

ってか?

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