第143話 登校日と、でたらめ環境

 夏休みには、登校日ってものがあります。

 学校にもよるけどね。

 岡山の県立普通科高校は、そろそろ補習再開。

 落っこちた元作家さんは、そんなものはない。

 大検が終われば、ひたすら黙って、受験勉強。


 酒も飲まずに理想に酔っ払った児童指導員さんはというと、

 その場限りの対応、対症療法のような気休め措置くらいが、

 彼に対する対応のすべて。

 勉強できる環境を整えてやろうとか、

 そういう意識はみじんもとは言わないが、全くなかったな。

 そのかわり、出来損ないの理想論はしっかり述べてくれよった。

 家庭の家族の、なんとか家(け)をどうするべきかだのと、

 これまた、家制度の出来損ないのそのまた劣化した戯れ言。

 こんな出来損ない言動は、この御仁、超一流でしたね。


 中学校の頃は、何日か、確かに、学校に行っていた。

 まあ、ぼちぼちやったな。

 定時制高校には特に、そんなものはなかった。

 テメエの勉強だけ、真剣にやらないかんのだ。

 今時の言葉でいう「パヨク」どもとも付合いはあったが、

 あの頃は、そんなアホどもとまともにやり合っていた。

 今なら、一切相手にもしねえけどな。

 こいつらも、仲間ごっこ的な言動は超一流だったな。

 この田舎は、どいつもこいつも、クズと無能ばかりやな!


 彼は、そいつらの言葉、岡山弁を抹殺した。

 そして、自らの言葉を変えた。

 田舎根性のアホども、なかなか理解できなかったようだが、

 やがて作家となり、その著書で、奴らを総括したのである。


 もうええわ。

 黙って淡々とやっていくしかねえ。

 くだらんゴミを持込もうとしてきたアホどもばかりの、

 こんな田舎県を、故郷とか、笑わせるな!


・・・。そして彼は、40歳を前に、田舎県を切捨てた。

 しかしそれから6年後、求められてその田舎県に戻った。

 これは一度、こうしなければならなかったのである。

・・・、ということ。以上。

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