第14話 王妃
「私たちと共に王城へ向かってはくれませんか?」
小人が言い始めた内容を要約するとこうだ。
とは言っても大体知っての通りのストーリーと変わらないという感じだが。
まず、白雪姫は王妃に暗殺されそうなところを暗殺者役になった者が見逃してくれて、助かったそうだ。
森の中で小人と出会った白雪姫は小屋でひっそり暮らしていた。
それから、王妃が来たと思ったら魔法で眠らされてしまった、と。
そして、今に至る。
(ストーリーは大体俺が知っている"白雪姫"だ。
でも、要所要所の場面で"魔法"というのが使われている。
俺は元の力が出せない代わりに"毒を打ち消す"という能力が使える。
王妃は"毒を付与する"という能力、そして小人にも話を聞いてみるとそれぞれが能力を使えるみたいだ。)
「えーと、それでは、王城へ行くという話は、、、」
(それから、一番重要なのは、"自分に決定権がある"ということだ。
例えば、今俺がこの誘いを断ることもできるし、おそらく暗殺者も白雪姫を普通に殺すという選択肢もあっただろう。
でも、これがどうデスゲームに絡んでくるのかが検討もつかない、、、
ひとまず、ここは、、、)
「もちろん!王城まで同行させてもらう。」
「やったぁーーー!ありがとうございます。」
「ほんとありがとうございます!」
小人たちの歓喜の声が聞こえる。
「王妃に相応の罰を与えるため、貴方様のお力をお貸しください。
これから、よろしくお願いいたします。」
お辞儀をする聖女(アマテラス)というのは何故か新鮮味を感じた。
そんなこんなで王城へ向かうことになったが、俺はこれがデスゲームだと忘れるくらいにゆったりしていた。
王城までは意外に近く、思ってたほどの時間は掛からなかった。
道中、俺が一番驚いたのは、そこにはこの世界が魔法でできているとは思えないほどに栄えている王都があったことだ。
「やっと戻ってこれましたわね。
さて!まず、王城に向かいましょう。」
「なんか、急ぎすぎじゃないか?」
俺はものすごい剣幕で王都を歩き始める白雪姫に恐る恐る尋ねた。
「ああ、私としたことが、少し焦りすぎていましたね。一回休憩を挟みましょうか」
そういった白雪姫はいつもの表情に戻っていた。
が、俺は聞き逃さなかった、
白雪姫がぼそっと、
"うるせぇな"
と呟いたことに。
それから、俺たちは近くの食堂で休憩を済まし、ついに王城へ向かった。
ちなみに、この王都にはたくさんの種族が暮らしているため、小人も珍しくはないそうだ。
王城の門の前に着くと俺がいるからか門番の兵士が急いで門を開けた。
(こんなに広い王城っていうのは広いのか)
俺が感心している間にも白雪姫はどんどん中に入っていき、ついに広間のような場所の扉の前についた。
(ていうか、この白雪姫、、、
いや、聖女か、、、
なんかさっきから言動が怪しいんだよなぁ)
そんなことを考えながらも広間への扉の前で中の声を聞いた。
「おい!暗殺者ヴァン!お前はなんであいつを取り逃したんだい!
お前の実力なら逃すなんて真似するわけないだろうに、、、」
「いえ、王妃様、全て私の責任でございます。
なんなりと処罰を!」
(暗殺者ってヴァンのことだったのか、、)
すると、突然、白雪姫が動き出す。
「その者を処罰する?
何をおっしゃいますか?
処罰されるべきは貴方ですよね?王妃様。」
王妃と思われる人物は部屋の一番奥にある二つの椅子、おそらくいつもは王様と王妃が座っている椅子の右側の椅子に座っていた。
(あいつは確か、、、自分から怨霊であることを明かした、パスラ•ペスか!)
「な!あんたは、、、白雪姫!?
もう戻っきたのかい、、、クソッ!」
「これから、裁判を行いたいと思います!
ここから1週間、王妃様はいつも通りの生活をしてくださって構いません。
その間に王様を含めて王妃様が有罪か無罪かを決めてもらいます。
よろしいですね?
それから、この件に関しては箝口令を引かせていただきます。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます