第9話 因果
俺がガイラの元に戻ると、彼はすでに息絶えていた。
「まだッ!まだッ!うぅ、、、」
聖女は相変わらず蘇生を施そうともがいている。
「はぁ、はぁ、やっとくたばったか、このクソ先公!」
ヘリオスは恍惚とした表情でガイラの死体を見下ろしている。
その言葉を聞いた聖女は顔面蒼白になりながら声を振り絞った。
「ご、ごめんない。
私は少し休んでいます...」
(...胸くそ悪りぃな。だが、信徒が一人減ったことで残りはあと一人となった。)
ガイラの周りに集まっていた奴らもまたばらけ始めた。
何事も無かったかのようなその空間は、自分達がいた世界とは切り離されているようにも思えた。
俺はもう一人の信徒の方を見る。
まだ、水の勇者であるヴァースキ•セドナと
自分をリアス•アディーと呼ぶ謎のシルクハットの女が戦っていた。
「水属性魔法、
セドナの手から大量の水が洪水のように噴射される。流石は勇者だなと感心する。
「だ•か•らぁ、僕に魔法は効かないんだよ!
その光景に俺を含めた周りの生き物全員が息を呑んだ。
突然、セドナから放たれた水が空中でパッと消えてしまったのだ。
「ハァ、ハァ、ハァ、お、お前、そんなの卑怯だろうがよぉ、、、」
どうやらセドナはもう何回もこれをやられているらしい。
「ていうか、君、あっちの戦いはもう終わったのにピンピンしているってことは、相当、精神力があるね。」
(なるほど、、、このゲームでは精神力が強いほうが有利なのか、、、)
「ああ、お前には耐えられないだろうよ!」
とセドナが啖呵を切ったその時、突然、二人の間に割り込んで、走って入っていく青年の姿が現れた。
「ん?君は何者だい?
ものすごい、
「...どうかな?君に敵うかどうかって所だよ。
さて、僕の名前はアル•クロノス。
気軽ににアルって呼んでおくれよ。」
急に現れたその青年は金髪に碧い瞳、恐らく大物貴族の子供だろうと思わせるその顔立ちとは目の奥には暗く、そして強い意志を纏わせていた。
「じゃあ、立ってるのも何だし、、、
もう、奪っちゃうね!」
アルはセドナの方向を向いた。
「お、おい私から何を奪っ、、、」
シュンッ
(な!なんだ今の動きは、、、
何も見えなかった、、、というよりは、、)
アルは一瞬消えたかと思うとセドナの目の前に急に現れて、セドナのおでこに手を当てていた。
「1...2...3!これで、僕は信徒となり、他人を攻撃することができるってことだね!」
周囲にいた奴らはまるでドラゴンでも見たかのような目線をアルに送った。
「お、お前、、、めちゃくちゃ優しいんだな」
セドナが少し照れている。
しかし、アルはそんなこと見向きもせずに一言つぶやいた。
「...もう、我慢できないよ。
ギルガメッシュ•ヴァン、、、
お前だけは許さないッ!!!」
先ほどのクールなアルは一瞬にして消え、
顔面には鬼が張り付いていた。
遠くの木の上で昼寝をしていたヴァンはアルからの殺気に気づいたのか、突然起きてこっちを見てきた。
「おや?何かなあれは?
なんか、、、面白そう!」
ヴァンは一気にこっちに走ってくる。
二人は正面から戦う姿勢を取った。
一気に場の空気が重くなるのを感じた。
俺は思わず、その周りからあとずさりする。
「で?君は誰?」
「僕の名はアル•クロノス、、、
お前の父親に俺の家族を殺された男だよぉぉぉーーーー!!!」
アルは本気の雄叫びをあげた。
「おや?アル家の子供なのかい?
アル家の子は今まだ5歳ではなかっ、、、」
その瞬間にまた奇妙な技を使ってヴァンの前に瞬間移動した。
「お前が知る必要はない。
"これは僕の物語だ"」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます