第23話 2人の道のり
理事長の長話から30分。時刻は11時になろうとしていたが、売店に早歩きで来る看護師が1人。
「
「どうしたんですか静華さん」
病院内に足音が広がる中、2人はコソコソと話し出した。
「まさか勤務時間中にお菓子を買いに──」
「そんなわけないよ!」
「だろうね。で、本題は?」
「
「あー静華さんお気に入りの後輩ちゃん?」
「うん、だから見てないかなって」
「私は見てないな」
「...そうなんだぁ」
静華さんは大きく落胆した。
「力になれずでごめん」
「いやいや急に来たのにありがとね! じゃあ私教室に行かないといけないから、愛宮ちゃん見かけたら教えてねー!」
「りょうかーい」
後輩ちゃんいないんだ。......なんでいないんだ?
3年生全員参加なはず...あっ! 休みか。
一方その頃、るなちゃんの部屋では11時を楽しみにしている2人がいた。
「もう...すぐ......で...11...時」
「あっほんとだ、これでやっと庭園に行けるね」
「......うん」
2人はこの余りに余った時間を使っていつも通り本の話や、他の趣味の話、そして11時になったら何をするかを話していた。結果、11時になったら気分転換に庭園へ行こうという事になった。
「おっ11時」
「行け...る...かな......?」
「足音は......しないね。じゃあ僕が先に見てみるね」
「う...うん」
「うん、生徒さん達は居ないよ。大丈夫」
「分かっ...た......今...行く...」
るなちゃんは奏汰の方へゆっくりと歩き、病室から出て自分の目で生徒さん達がいないかを確かめる。
「大丈夫でしょ?」
「...うん」
「じゃあまずは1階に降りよっか」
「うん......あの......車...椅子......押そっ...か...?」
「えっ! ...あっ」
いきなりの提案に驚いてしまい、2階に奏汰の声が響き渡った。
「...ごめ...ん......肋骨...も折れ...てる...し...痛...そう......だっ...た...から」
余計なお世話......だったのかも......
るなちゃんの心臓の鼓動が途端に早くなる。
「謝らなくていいよ、じゃあ頼んでもいいかな?」
肋骨折れてるの知っててくれたんだ。
「......うん!」
「無理はしないでね」
「あり...がと...」
るなちゃんは少し嬉しそうに車椅子のハンドグリップを持ち、庭園へ2人で向かう...はずだった。
「意外......と...難し...」
「大丈夫?」
「う...ん」
そう、車椅子を真っ直ぐ動かすのに苦戦しているのだ。どうしても曲がってしまう。
何しろるなちゃんはまだ小学3年生、車椅子の高さ90センチに対しるなちゃんの身長は128センチ。その差は38センチしかない。
「無理しないで、僕が自分で動かすから...」
「い...や......やる......」
私がやらないと...奏汰が無理しちゃう......
「いやでも...」
「やる...の......!」
初めてだった、ここまでの大声をるなちゃんが出したのは。
「......っ! ......分かった」
僕はるなちゃんの気迫に押され了承した。
こうして2人は庭園に向けて出発し、るなちゃんの頑張りもあって無事庭園前のドアまで来ていた。
「......ふぅ......着い...た」
「お疲れ様」
「......じゃあ......行こ...?」
「休まなくて大丈夫?」
「休む......なら......庭園...で...」
「...うんそうだね」
奏汰がそう言うとるなちゃんがドアを開けた。
開けた瞬間、太陽の光が差し込んで来た。
「眩し」
「...うっ」
少し経ったあと2人は目を前に向ける、そこには広大な自然が広がっていた。
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あとがきです。
どうも、まどうふです。
更新が遅れてしまいました。
最初の静華さんと夏凛さんの会話の中に後輩ちゃんとして出てきた
ちなみに
病院の同期で同級生だった
良ければフォローと応援、★のほど、よろしくお願いします!
以上、まどうふでした。
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