初夜地獄
下着姿のカリナがベッドの横に座っていた。
耳まで赤くして、モジモジとして、何もしない時間が過ぎていく。
「なんだよ」
膝を抱えているばかりで、カリナは何も言わない。
と、思いきや、カリナが少しだけ前にきて言うのだ。
「あのね」
きゅっと口を噤み、視線を逸らす。
「い、今から、シンたんのこと、……レイプする」
そう言うと、腰の上に跨り、見下ろしてくる。
何が気になるのか、落ち着かない様子で、再びベッドから下りて、出入り口の方へ向かう。
「おい」
「電気、消す」
パチン、と部屋が真っ暗になる。
この日に限って、外は月が出ていなくて、カーテンの隙間から明かりが差し込む事はなかった。
あれだけキスをしたり、股間を触ってきたカリナがしおらしいのは、変な感じだった。
まあ、何もない方が俺としてはありがたい。
さっさと寝かせてくれた方がいいしな。
オデットの言葉は、ちょっと大げさなんじゃないか。
バカバカしくなってきた。
口を開けて、欠伸をする。――のは、束の間だった。
「あむっ」
手を拘束する鎖が、激しく揺れた。
俺が力んだせいだ。
「おい、ちょ、ちょっと、待て!」
何をされているか、暗くて何も見えない。
けど、真下辺りに吐息が当たっていて、強すぎる感触に思わず、ベッドの鉄格子を産婦のように掴んでしまう。
「く、……う、ぐぅぅ」
歯で甘噛みされる。軽く吸われる。ざらついた感触が下の部分を這う。
これが一気に、しかしねっとりと、下から込み上げてくるのだ。
加えて、太ももの付け根を撫でまわされる感触があった。
俺は下唇を噛んで、頭を枕に打ち付けた。
これは、……狂う。
強すぎる快楽が、全然逃げてくれない。
ずっと、下腹部に溜まり続けて、気が付けば腰が逃げようと引いたり、真横にずれたり、酷い抵抗をしていた。
カリナは初めこそ控えめだったが、鼻息が荒くなってきた辺り、熱が入ってきたようだった。
俺の尻を掴んで固定し、もの凄い力で押さえてくる。
「だ、ダメだ。無理だ。やめてくれ! おい。それ以上は……」
俺は、呆気なく果ててしまった。――のは、束の間だ。
カリナの愛撫は終わらなくて、ずっと継続している。
鈍かった下腹部には、再び熱が戻ってきて、またとんでもない快楽が宿ってくる。
「はぁ、はぁ。あー、……ったま、痛くなってきた」
「……こくっ。ん、力抜いた方がいいよ。力み過ぎ」
今度は、腰に重みを感じた。
股間には濡れた感触があって、正直この時点で俺は勘弁してほしかった。
ていうか、呼吸をさせてほしかった。
「シンたん。シンたんは、……初めてなんでしょ」
「はぁぁ、……ふぅぅ、……はぁぁ。い、言ったっけ?」
「ふふ。携帯見ちゃった」
暗闇から、意地悪な声が聞こえてきた。
「じゃあ、私が初めてなんだ。私が、……私が、シンたんを、自分だけの……」
俺の腰がビクつく。
敏感な部分に、重量を感じた。
圧迫感が強まってきて、「頼むから。止まってくれ」と、情けない声が出てしまった。
そして、根元まで圧迫感で締め付けられると、カリナが艶めかしい声を発した。
「これで、……恋人。ううん。結婚したんだ」
心臓が痛いくらいに、ドキドキしていた。
死ぬんじゃないか、って冗談抜きで思うくらい。
断じて言うが、カリナに妙な気を起こしたわけじゃない。
カリナの与えてくる快楽が、とにかく強すぎるのだ。
しかも、それが全然逃げてくれないから、体の至るところが痙攣を起こして、ビクついている。
カリナは止まってくれない。
「んっ、私、……シンたんの、赤ちゃん、産む」
「おぞ、ましいこと、言うな」
「絶対に、産む。シンたんの事、誰にも渡さない。私だけの物。私だけが、シンたんを愛していいんだ」
張りのある尻が、俺の股間部を潰してくる。
形状が変わってしまうほどカリナが落ちてきて、その激しさはベッドの軋みに表れていた。
「シンたん。好き。好きっ!」
「く、……ぅぅ」
俺は、その言葉の途中で果ててしまう。
なのに、まだ快楽が続くのだ。
強すぎる快楽が連続で込み上げてくると、それは最早苦痛となってくる。
拷問だった。
挙句に、倒れ込んできたカリナからは、舌を吸われる。
呼吸を整えることに集中していたのに、舌が外に出てるため、その両脇からしか、空気が入ってこない。
狂う。
これは、ダメだ。
身を任せたら、本当に取り返しがつかない。
突き放そうにも、両腕は拘束され、身動きができなかった。
「シンたんは、私のこと好きでしょ? ねえっ! 愛してるって言って!」
耳元で吐息混じりに言われ、俺は顔を背けた。
「言って。言ってよ。……言えっ! 誰の物か言えっ!」
「……う、うる、……せ……」
「あははっ! 気持ちいいんだ? 私の中で震えてるよ。ほらっ。ほらっ!」
尻を何度も叩きつけてきて、俺は脳みそが焼き切れそうだった。
俺は、今の時間、今やっている行為で、自分が童貞を捨てた実感がない。
それどころか、生きたまま獣に捕食されてる気分だった。
「パパになるんだよ!? シンたんは、パパになるの。今、私たちの子供作ってるんだよ! 愛してるくらい言えないの!?」
「……よ、余裕が、……ないんだよ」
これが、俺の精いっぱいだった。
カリナが叫んでいる最中、また果てたのだ。
鈍くなった俺の股間は、すでに男として機能していない。
カリナの圧迫感から解放されて、やっと終わったと息切れしたくらいだ。
でも、甘かった。
カリナは、男を知り尽くしていた。
尻の穴に感触があった。
それが入ってくると、奥まで割り込んできて、壁を擦られたのだ。
何が起きたのか、全く理解できなかった。
鈍くなって、役に立たないはずの物が、俺の意思に反して硬くなる。
「愛してるっていうまで、やめてあげない」
真っ暗闇の中、カリナの幸せそうな声が聞こえてきた。
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