Shall we?


「踊ってくればいいのに」

 彼女はそっけなくつぶやくと、CDの再生ボタンを押した。


 後夜祭の恒例イベント、フォークダンスがはじまった。

 放送室の小窓からは、校庭で輪を作って踊る生徒たちがよく見える。


「別に好きでもない相手と踊ったって嬉しくないし」

「そうね。それは同感」

 そして訪れる、奇妙な沈黙。

 カウントダウンされていく数字を見つめながら、結局なにも言い出せない。


 残り3秒。

 彼女の指がリピートボタンを押した。


「Shall we?」

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