耳元で語り合うふたり


 彼女の声がすぐ耳元で聞こえる。

 その吐息まで聞こえてきて、僕はドギマギとなった。


 こんな体験ははじめてだった。

 姿が見えないからこそ想像が膨らむ。音に敏感になる。こんな体験をしてしまったら、もうメッセージアプリなんかには戻れない。


 それから僕らは、すっかり長電話に夢中になった。

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