「恋人はいるんですか？」

「結婚はしないんですか？」

「どんな人が好みなんですか？」

　カウンターの向こうから、バーテンが澄ました顔で言う。

　その問いは、容赦なく踏み込んでくる。

　私の心に、ずかずかと、土足で。

　強めのお酒を頼りに、私はひとつひとつ答えていく。

　恋愛、結婚、プライベートな話。

　セクハラになるからと、酒の席でも話題にされなくなった。

　それで救われた人がたくさんいる。

　ここは私みたいな、誰かに踏み込まれたい、寂しがり屋が集まるお店。

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