昼下がりのショートショート

あいはらまひろ

しあわせのありか


「地面に落ちる前につかまえると、しあわせになれるんだって! 私がつかまえてきてあげるね!」

 幼い娘はそう言って、舞い散る花びらの下へ駆けだしていった。


 公園の桜は、ちょうどいまが満開。

 風が吹く度に、無数の花びらが空に舞う。

 だけど、そのちいさな手では、なかなかつかまえられない。


「幸せ、逃げられちゃった」

 しばらくして娘は肩を落として戻ってきた。

 その細い髪に、花びらを1枚つけて。


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