アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」感想


 最近、「ぼっち・ざ・ろっく!」のアニメ版を見ておりました。

 大変面白かったので、Twitterで呟いてた各話の感想をここにまとめ、作品全体についての感想もあらためて記しておこうと思います。

 なお、Twitterに投稿した文章から追記・修正など適宜行っております。



■#1 転がるぼっち


 これは面白い!!

 冒頭から完璧なテンポで一切の緩みなく進んでいく青春ドラマ!! キャラの見せ方・活かし方も良いし、なにより主人公ぼっちのコミュ障描写がまことにリアリティがあって身につまされる感がすばらしい。

 続きも見て行こう。




■#2 また明日


 うむ!! 偉い!!! 頑張ったな、ぼっち!!!!


 前回ラストで打ち上げのお誘いに「疲れたから帰る」って言ってるのが「いやそれが言える奴はコミュ障ちゃうやろ。ほんまもんは断ることもできないよ」と違和感あったんだが、そこも今回触れられててよかった。


 各話のストーリーがしっかりしてるのがいいね、このアニメ。どっしりと腰の据わったドラマだ。


 そういえばちょっと思ったんだけど、ぼっちちゃんが言ってた「独りが好きな人と独りぼっちな人には天と地の差がある」って、んなことねえよって思うんだよな。マンガのキャラじゃないんだから現実の人間はそんなにバッサリ2つに分けられはしない。誰もが両方の要素を併せ持っている。

 俺は基本的に独りが好きなタイプだと思うけど、独りぼっちで寂しいと思うときもある。逆に基本的に「つるみたいけどつるめない」タイプの人でも、一人で過ごす時間に喜びを感じてる側面もあるはず。実際、ぼっちちゃん自身が狭くて暗い所に入ると「安心」してるわけで。

 そういうスペクトラム的な性質を自覚できず、「ああ」か「こう」かという二極で人や自分を見てしまってるのが、ぼっちちゃんの問題点であり、人物像の魅力でもある。


 だからそこらへん、気づいて受け入れていけるといいね! 自分の中にある「一人を楽しむ」気持ちを! と思う。

 それこそが多分、彼女が世界の広がりを楽しめるようになり、世界の広がりと折り合って付き合えるようになるための、鍵なんじゃないかなって思った。この先どんな話になっていくのかわからんけど。




■#3 馳せサンズ


 今回もいい話だった。

 ひとりぼっちで押し入れに引きこもってギターひたすら練習してた人間だからこそ、他人の持つ憧れの気持ちや、真摯な練習の痕跡に気付けた……というのは、キャラ描写とストーリーの流れがカッチリ噛み合った良い展開だったな。


 それにしても、ギター全く弾けないのにとりあえずバンドに入ってしまうというのは……

 キタさん、行動力があって凄いのは凄いんだが、ちょっと行動力がオーバーフローしてて心配になるレベルだなw




■#4 ジャンピングガール(ズ)


 今回も良い話だった。


 ぼっちちゃんが「本当は無責任に現状肯定する歌詞嫌いなんだけど」とか言いながら明るさ狙って現状肯定歌詞書き始めた時は「あーーー!! それはダメ! それはクソクソのクソ文章しか出来上がらねえやつ! 戻ってこいぼっちちゃーん!!」って見ながらハラハラしていたが、リョウさんがちゃんとバシッと指摘してくれて本当に良かった。


 あと、ぼっちちゃんの陽キャイメージで真っ先に出たのがサタデーナイトフィーバーなあたり、「おまえあの映画見てねえだろ……くっそ暗えぞ……絶対気に入るから見ろぼっちちゃん……」って思った。

 あと平安陽キャぼっちちゃんがかわいかった。


 それにしても、ぼっちちゃんがちょくちょくFXで有り金全部溶かしたみてえな顔になるのおもろいな。

 主人公が頑張り屋の良い子で面白いやつなので、安心してみていられる。主人公を嫌いになっちゃうと作品まるごとダメに思えちゃうんだ、俺は。




■#5 飛べない魚


 「成長って何なのか分からない」いやいやいやいやお前めっちゃ成長してるよぼっちちゃん!! いいんだよお前がんばってるよ!! と思った。

 あと、何が「いいんじゃない」だよ!! こんなめたくそ上手い学生バンドがあるか!! と思った。


 そして「富山県 黒部ダム」で爆笑。「裸の銃を持つ男」のセックスシーンみたい。




■#6 八景


 出た! OPでずっと気になってた「一升瓶ラッパ飲みしてるようにしか見えない人」ついに登場!!

 一升瓶どころじゃなかった!! 煙草一服するかーくらいの勢いで鬼殺し吸ってんじゃねえ!! 内臓いわすぞ!! まじで!! やばいって!! ほんとやばいって!!!


 それはそれとして、今回も本当に面白かった。各話、ぼっちちゃんの成長物語として非常にカッチリした作りで良い。

 なんつうか、あれだよね。ぼっちちゃんは良縁に恵まれてるというか。いいタイミングで最良の導き手と出会える星の元に生まれた女なのかもしれんな。そんな風に感じた話でした。


 鬼殺しの人(名前わからん)もいいキャラだった。

 あれは演奏時の座り方といい、作中に出た弁天様らしき像といい、弁財天がモチーフなのかなあ。

 素晴らしい技量を持ち、主人公に好意的で、主人公の真の力と成長性を見抜いており、試練を与えて的確に導く……という、師匠キャラの鑑のような人だった。


 そのうえで、「酒カス」という分かりやすい欠点も持たせることで愛嬌を獲得している。

 亀仙人のスケベみたいなもんで、ああいうダメダメポイントがあるほうが、完全無欠の師匠より魅力が出るんだよな。よくできたキャラだと思う、鬼殺しの人。




■#7 君の家まで


 ギャグ回くっそおもしろかった。

「え、本当に(友達が)遊びに来てる?」「お姉ちゃんの妄想じゃなく?」それが人の親の言うことかw

 あと「カレー」「寿司」「晩飯どっちがいいかな?」はリアルに噴いた。


 そういえば、ぼっちのお父さんがずっとエロゲーの主人公みたいな前髪になってるの、いったい何なんだあれはw うけるんだが。




■#8 ぼっち・ざ・ろっく


 ライブ開始直後に演奏聞いて「あれ? なんだこれ? 下手じゃない?」と耳で分かる。それが「上手く演奏できてない」演出だったと後から分かる。

 こういう、絶妙なうまくいってなさを言葉じゃなく音楽そのもので表現してるの凄いと思う。地味に難しいぞこの演出は。


 あと、ぼっちちゃんが突然の覚醒・超うまソロ演奏からの全員復調! の流れは本当に素晴らしかった。

 そうだよ!! こういうカタルシスが見たくてアニメ見てんだよ!! って思った。


 前々から感じてたが、ぼっちちゃんはヒーロー気質なんだよな。「義の心」を持ってるというか、「やるときゃやる」というか、「逆境の時こそ輝くタイプ」というか。

 みんなが負け犬になってるとき、率先して先頭に立ち、困難に挑んでいける。それがヒーローの条件!

 その意味で彼女は確かにギターヒーローだ。

 ニジカちゃんからのギターヒーロー認定も、そのヒーロー性の遺憾ない発揮の後だからこそ生きた言葉になる。素晴らしい演出だったと思う。


 あと地味に良かったのが、ライブ中の鬼殺しの人(廣井きくりさん)の反応。下手な演奏に観客やニジカちゃんの姉が顔色を変える中、廣井さんだけはぴくりとも動揺せずニコニコ楽しそうに聞いてるんだよな。

 多分あれは「緊張と同様で本来の力を出せてない」ことを見抜いたうえで、「そこからどう復活するか」を楽しみに見ているから。

 前々回の路上ライブの時のぼっちちゃん最大の評価ポイントが「演奏中に自分の欠点に気付いて即座に修正してきた」点だったので、今回もぼっちちゃんの覚醒を期待していたんじゃないかと思う。つまりあの時点で廣井さんだけがぼっちちゃんのヒーロー性を理解していたんだろうと。本当にいい師匠キャラだ。

 いや、単に酔っ払ってなんでも楽しくなってただけという可能性もあるが……。


 そんなわけで、山場になるタイトル回収回、すごく良かったです。


 ところでふと思ったんだが、ぼっちざろっく見始めたのは「百合的」ということでお薦めされたからだったんだけど、これ、百合要素全然なくない?w ここから百合っぽさが出てくるのかな?

 まあ、面白いので、もう百合でも百合じゃなくてもなんでもいいや! 面白いし!! という気持ちになってきている。




■#9 江ノ島エスカー


 江の島の階段ってそんなにキツいの? まあ、結束バンドの面々が運動不足過ぎるだけか。

 のんびりとした日常回でした。で、ラストでポスター強調されてたし、次は文化祭ライブ編……なのかな?




■#10 アフターダーク


 キタちゃん!? まじかよお前!? 「ぼっちちゃんが捨てた」と認識した上であえて申込用紙回収して勝手に出しちゃったの!? ちょっとこの子怖えよ!! もはや行動力のモンスターだよ君は!!!


 初登場時にも思ったが、行動力が大気圏突破してるっつうか、その「やりたい!」の気持ちで後先考えず突っ走り、あまつさえ周囲の他人まで巻き込んでしまう。

 前回はぼっちちゃんがフォローしてくれたし、今回もぼっちちゃんが受け入れてくれたから良かったけど、一歩間違えば大惨事の危うさを孕んでる。


 結束バンドは全体的に極端な人間の集まりって印象があるが、ここへ来てぼっちちゃんとは逆ベクトルに社会性がヤバいやつが正体を表してきた。びっくりした。おもしろかった!!


 あと廣井おねえさんは今回も最高でした。

 何がいいって、酔っぱらいの挙動のアニメ的な再現度が高すぎてすばらしい。チケットを差し出すとき頭下げて平伏する仕草とか! 絶妙にフラッフラした歩き方とか! これはまさに泥酔者。面白い人だ。




■#11 十二進法の夕景


 ラスト前だというのにのんびりと茶番劇を繰り広げるとは豪気だのう。


 それにしても、ぼっちちゃんが「ちゃんとした服着てるとかわいい」設定なの、個人的には「何着ても似合わねーな……」みたいな感じの方が萌えるんだが、分かってくれる方はいるだろうか。

 なんか、「俺だけはお前のいい所を分かってるぞ!!」みたいに思えて応援したくなるというか。いや、まあ……いささかキモいかもしれんが、俺はそういうのが好きなんだよ!!


 あとなあ、きくりお姉さん、あんたなあ、学校内で飲酒するんじゃねーよ!!!!!!! さすがに!!! そこは!!!! わきまえろよ!!!!! 大人だろ!!!!!! よく校内に入れたな!? と思った!!




■#12 君に朝が降る


 うおおおおおお!!!!

 「逆境でこそ輝く」後藤ひとりの本領発揮!! そうだよ!! それでこそヒーローだよ!! お前ほんとにギターヒーローだよ!! 俺ァこういうのが見たかったんだよ!!!(2回目)

 って大興奮の最終回でした。


 まさか前回の「カップ酒」が伏線だったなんて誰が予想する!?

 これぞカタルシス! これぞ物語!! かっこいいとこ存分に見せつけてからの大ボケ床ダイブ!! 面白すぎた。俺好きだわ、このアニメ。


 最終話までかなりのハイペース(11日間)で見ていった。本当に面白かった。青春物語として各話のストーリーの作りがしっかりしており、主人公ぼっちちゃんの魅力と成長が速いテンポで余すことなく描かれているのが大変好印象でした。

 いい作品に出会いました。オススメしてくれた立談百景さんありがとう!!



 それはそれとして、やっぱ百合要素無くない?w

 いや、俺の百合感受性が足りないだけか!? ここから百合を見出すのが真の百合者!? なのか!?

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