第58話 鼻の調子はどうだい?
夏休み前、三者面談があった。
三年生は主に進路について話すのだ。
塾からは「学校の先生たちは、君たちのことを、成績表でしか知れない。だから志望校を言ったら諦めろと言われるかもしれない。だけど鼻で笑っとけ」と言われたので、いつでも鼻で笑えるように、鼻の調子を整えて向かった。
「S高校、いくらでもいけるんじゃない?」
獅子先生は、真面目に言った。
「今は届いてないけど時間はまだ全然ある」
獅子先生は、冠婚葬祭でもない限りスーツを着ない。今日もおなじみのサッカーのユニフォームだ。
「諦めないで努力しなさい」
とんでもない精神論。さすが体育教師。
『三年の担任が獅子先生でよかった』
鼻はすすらなかったが、そんなくさいセリフを心の中で言った。
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