僕が考えた厨二設定は最強でした〜異世界で厨二病全開で無双する!〜
太郎助
第一章
第1話・異世界召喚
「あーあ、この世界に魔力とかあればいいのに······」
僕は誰もいないリビングでそう呟いた。
分かっている。この世界に魔力なんて存在しない。だけどどうしても考えてしまう。
ああ、魔力さえあればもっと色々なことができるだろうに······と。せめて異世界にでも行けたらいいのに······と。
そんな時だった。突如として僕の周りに光った魔法陣が現れた。
普通の人なら驚き何がなんだか分からなくなるだろう。でも僕は違う。
この手のパターンは全て把握している。
突如として現れたかっこいい魔法陣。そして何より異世界への願望。
そう!これは異世界召喚だ!
〜〜〜〜〜〜〜〜
気がついた時には既に見知らぬ建物の中にいた。足元には先程の魔法陣があった。
そして、目の前には1人の小柄な少女がいた。
確定だな。これは僕が待ちに待った異世界召喚だ。
恐らく、この子が僕を召喚したのだろう。
「成功······した······」
「おっと」
少女は突然倒れてしまったので地面に当たる寸前で僕がキャッチした。
原因は恐らく召喚魔法を使った事による魔力切れといったところかな。
とりあえずこの子が起きるまで待っていよう。
それにしても、この世界に来てからは異様に体が軽い。そして周りを何かが漂う感覚がする。僕はその感覚に意識を向ける。
間違いない。これは魔素だ!つまり、これを操れば魔力を得られるはず!
そうとなれば試さずには居られない!
魔素の操り方は100パターン程暗記している。それらを片っ端から試していく。
「ふぅ」
集中だ。周りに漂う魔素を僕が支配するイメージ。
すると周りを漂っていた魔素が一気に僕の中に入ってきた。
よし、成功だ!
この世界は魔素を支配する形で魔力を得られるようだ。支配した魔素を魔力に変化させるイメージだ。
さっきよりも僕の体が明らかに強化されている。今なら岩が落ちてきても無傷でいられるだろう。そのくらいの感覚がする。
魔力でできることは他にもあるはずだ。色々試してみよう。
それから1時間が経過した。
「ん······私は······」
おっと、この子が目を覚ましたみたいだ。
1日は待つ覚悟をしてたんだけど、1時間で済んだみたいだ。
さてと、どういう感じで話しかけようか。こういう時は下手に話しかけて舐められてはいけない。
よし、これで行こう。
「目を覚ましたみたいだね」
僕は限りなく素に近いが、只者では無い感がある表情で話しかけた。こういう時のために練習しておいたのだ。
「あなたは······私が召喚した······」
「神崎響だ。響でいいよ」
本名は田中太郎というが、ここではそう名乗っておいた。理由は田中太郎という名前が地味すぎるからだ。この名前に生まれてきたことが人生最大の汚点だ。
ちなみに、神崎響にした理由はなんとなくかっこいいからだ。
元の名を捨て新しい名で異世界を生き抜く。いいね。
「ヒビキ······」
「それで、君は?僕を呼んだ理由は?」
「あ、そうでした。私はリリィと言います。ただのリリィです」
ふむ。リリィの瞳を覗いてみたけど嘘をついてる様子はないな。
「実は、私はこの先に住む邪竜への生贄に選ばれたんです」
なるほど生贄。通りで。
見たところここは廃墟だ。それなのにこの子の服装が綺麗すぎる。きっと、汚い服装で生贄に出すと邪竜の怒りを買うと考えたんだろう。
だけど疑問は残る。この12歳程度の少女がどうやって僕を召喚したのかだ。
「生贄として村を追い出される時は絶望しました。しかし、この廃棄を見て私は希望を抱きました」
「それはなんで?」
「実は、この廃棄には異世界より強力な人間を召喚できるという伝説があるのです。誰も信じてませんでしたけどね」
「なるほど」
ふむ。概ねは予想通りだ。それならこれから何をお願いされるかは簡単に予想がつく。
「それで、僕に助けて欲しいと」
「はい。その、突然呼び出しておいて身勝手だとは分かっています。だけどもう私はそれしか無いんです。だからどうか──」
「いいよ」
「へ?いいんですか」
「うん。むしろ君には感謝してるくらいだ」
なんせこの子のおかげで異世界に来ることが出来たんだからね。
それにしても邪竜か。そんなワード出されたら欲しくなっちゃうじゃないか!
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