第3話

一年で嫌なイベントのひとつである

家族旅行に今年も行く事になった


当たり前だが

行き先は京都

最初に訪れるのは

安倍晴明神社だ


まぁ、なんだかんだ言いながらも

この安倍晴明神社の雰囲気は嫌いではない

神聖な雰囲気だが

清々しい気持ちになれるのだ


いつも通りに本殿に参拝をして

お札やお守りを買い帰ろうとした時だった

ふと、誰かの視線を感じて振り向いたのだが

誰もおらず、変な感じがしただけだった


そのあとは、

毎年決まったルートを通り

ホテルにチェックインしたのだが

ここで、いつもとは違う事が起きたのだ


ホテルで夕食を食べている最中に

父親が変な事を言い出した

「ハルアキも高校生になったんだから

そろそろ式神を呼び出す儀式を覚えても良いんじゃないか?」


急に式神を呼び出す儀式など言われて

戸惑わない人間がいたら教えて欲しいものだ


夕食が終わったあとに

ホテルの部屋に戻り

父親が先ほどの安倍晴明神社で買ったと思われる

お札を並べて

さらには、六芒星と呼ぶのだろうか?

魔法陣を描き

さぁ、やってみろ!

と真剣な眼差しで迫られた


こうなった父親には何を言っても無駄だという事が

これまでの経験から分かっていたので

とりあえず、形だけでも付き合う事にして

父親が言う通りに呪文を唱え

式神を呼び出す儀式を行った


当たり前だが

こんないい加減な見よう見まねのやり方で

式神が召喚出来るはずもなく

1時間経っても何も起こらず

父親はがっかりしているようだった


もちろん、俺もがっかりしたのだが

呪文を唱えている最中に

時々、身体が熱くなるのを感じていた

そんな事を父親に言うと

うるさいので何も言わなかったが

何故か変な感じがしたのと

ある考えが俺の中で沸き起こっていた

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