廃病院
僕が体験した心霊体験についてお話します。あれはまだ高校生の頃の話です。
僕はある噂を聞きつけて、深夜の街へ出掛けて行きました。
噂というのは、この近くに若い女性の幽霊が出るという話です。
その女性はある廃病院にいるそうなのですが、そこに迷い込んだ人間を襲ってしまうのだと言う。
しかし、なぜそのようなことが起こるかというと……実は僕も実際に見たわけではないので詳しいことはわからないんですけどね。
とにかくそういうわけで、僕は真夜中になると一人でそこへ行ってみることにした。
目的地は街外れにある廃病院で、僕は懐中電灯を手にして歩いて行った。
時刻はすでに十二時を過ぎていたと思う。
周囲はしんとしていて物音一つしない。
聞こえるのは自分の足音が響くのみだ。
僕は緊張しながらも先へと進んだ。
そして目的の場所に到着した。
目の前には大きな建物が見える。
入り口と思われるところは固く閉ざされていて、鍵が掛かっているようだ。
しかし窓が割れている箇所があり、そこから侵入できそうだった。
さっそく建物の裏手に回り込んでみると、そこには非常階段があった。
それを使って上まで登ることにする。
屋上に辿り着くと、そこは思ったよりも広く、周囲をフェンスで囲まれていた。念のため周りを確認してから、扉の鍵を開けて外へ出た。
すると突然、背後から肩を叩かれた。
驚いて振り返ると、そこに一人の少女の姿があった。
年の頃なら十代半ばくらいだろうか? その少女がじっと僕の方を見つめてきた。「あの……」
恐る恐る声を掛けたが返事はない。
一体どういうことだと思っているうちに、彼女はスッと歩き去って行ってしまった。
どうやら追いかけることもできずに呆然としている間に、その姿は見えなくなってしまった。
結局、正体を確かめることはできなかった。
その後も何度かその場所を訪れたが、二度と彼女に会うことはなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます