10話 救世主とは
クレオのことを救世主と呼ぶシェリス。
「救世主?」
「えぇ、この魔王国を暗闇から照らしてくれる光です貴方様は」
「全く意味がわからない」
「シェリス様は巫女様なんだ。ある日、神様からの御信託を聞いたらしいんだ」
「神からの御信託?」
「えぇ、この世界を作りしリグレスト様から『間も無くこの世界に光を灯す存在が現れるだろう。その者の姿は吸血鬼とエルフのハーフだ。その者が現れたら力となることでお前たちもその悪夢から解放されるだろう』と」
「それが信託?」
「はい」
「成程、それで僕の姿が酷似しているから救世主様ってことか。僕はそんな大した者じゃないよ」
「いえ、救世主様は私たちを悪魔から助けてくださいました。産んだ子供を強制的に成長させられ子供の姿で奴隷とされる。そして来る日も来る日も目の前で産んだ子供を食われる。母親としてこんなに辛いことはありません」
「俺たちも目の前で母さんが凌辱されるのを見せられても耐えるしかなかった。やがて耐えられない奴が出てきて、アイツが満足するといつからか自分じゃなくて良かったと思うようになってたんだ」
「解放することができて良かった」
「貴方はきっとリグレスト様が送り出した救世主様なのです」
まぁでもこの世界に呼んだのがリグレスト様ってことならあながち間違いじゃないわけか?にしても現代では義理の父親から虐待を受けていた僕が救世主?荷が重すぎる。新魔王がアイツと気付いたから復讐することだけを考えていた。この世界を救うか考えたこともなかったな。
「とにかく僕の名前はクレオ・ヴラッド。その救世主様ってのはやめてくれないか?」
「まぁ、照れていらっしゃるのですか?救世主様にも可愛らしいところがあるのですね。フフフ」
「やめろと言っている」
「はいはいクレオ様」
「この拠点から魔王城への攻撃を考えている。できれば非戦闘員である君たちには安全なところへ行って貰いたいのだが」
「ここが1番安全ですわ。ピーターが守備していて、負けたことはないのですから」
「おぅ。子供だからってオイラの統率力を舐めんなよ。クレオのにぃちゃん」
「わかったわかった。では、もう何も言わない。だが巻き込まれても文句を言うなよ」
「望むところだ」
クレオが運んできた投石機を組み上げると初めて見る機械に興奮するピーターたち。
「なんだよこれすげぇ」
「リーダー、この引っ張ってるのを弾くと発射されるらしい」
「なんだと。良しやれ」
「アイアイサー」
まるで子供が遊ぶかのようにひっぱり発射する投石。
「はっ。何考えてんだ馬鹿」
それが魔王城のとある区画へと直撃する。
「ヒィー。なんなの。やっとあの男が死んで解放されて、私が産んだ息子が魔王になったのにどうしてまたこんなことに。もう私は誰にも安寧を邪魔されたくないのよ。アンドレに言わなきゃ。すぐに和解するべきだって。時期早々だったのよって」
謎の投石攻撃に驚いた女性は、玉座へと向かう。そこでは大きな音を聞いたアンドレが被害確認をしていた。
「先程の大きな音はなんだ。一体どうしたと言うんだ」
「アンドレ魔王様、どうやらツキヤマ様の一室に突き刺さったとのことです」
「なんだと!?母上は無事なのか?」
「わかりません、お部屋に向かったものからは何の連絡も」
「無事よ」
「母上!」
「アンドレ、すぐに和解するのです。母はこのような苦痛にもう耐えられそうにありません」
「何を言っているのです。この戦に勝利すればそれこそ全世界は俺のものとなって、2度と母上の安寧を脅かすことはないのです」
「そんな実現できるかもわからない夢幻よりも現実を見るべきです。現に向こうにはコチラを直接攻撃できる準備ができているのよ」
「わかりました。安全が確保できさえすれば続けて良いのですね」
「そんなことが可能ならね」
「ドラムス、母上をあの場所にお連れしろ」
「かしこまりましたアンドレ魔王様。ツキヤマ様、コチラへどうぞ」
ドラムスが合図をすると玉座がエレベーターとなり地下へと降りる。
「これはどういうこと?」
「密かに開発したシェルターです」
「シェルター?」
「非常時に使う隠れ家みたいなものですよ」
「確かにこれなら安全ね。わかったわ。アンドレの気が済むまで続けることを許可します。それまで私はここでのんびりさせて貰いますわね」
「えぇ、これで母上の安寧が脅かされることは無いでしょう」
アンドレはツキヤマをそこに残すとドラムスと共に玉座へと戻る。
「全く母上の臆病風には参ったが密かに開発していたものが役に立って良かった」
「えぇ。アンドレ様の先見に感服します」
「2人きりなのだ。業務らしくするなドラムス」
「アンドレ様、勝てるでしょうか?」
「お前まで臆病風か?安心しろ。この城にいる苗床に魔族の生産を急がせている。もうすぐ100万に到達するであろう。そうなればクレオといえど50万で100万が籠る城を落とすことなど不可能なはずだ」
「そうですよね」
アンドレもドラムスもクレオという男の恐ろしさを知らない。というかクレオが持っているクラフトキットの恐ろしさを知らない。
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