第2話 ライトデスガンの排除

リリは戦場を見渡していた。ライトデスガンとやらはどうやら吸血鬼にとって致命傷となり得るようだ。ならばここは我ら従魔の出番だろう。あの兵器を持ち帰ることができれば玲王様のこときっと目を輝かせて喜ぶに違いない。奪い取り、運搬用にハピネス隊を送ってもらえるように頼むとしよう。我が配下の精強なワンワン部隊に慄いてもらうとしよう。配下の者をキラージャッカルとか呼ぶのは、なんだかアレだと思ったので、玲王様に習って、代表のものに名前を付けることにした。キラージャッカルのジャック、キリングウルフのリング、マジックドッグのマジクだ。私のことが大好きな3馬鹿だ。「ジャック、リング、マジク、お前達に働いてもらう。ライトデスガンの排除を命じる」「リリ様のためならこの身どこまでも」「リリ様のために喰らい尽くしてやります」「リリ様のためなら例え火の中、水の中」「ういいやつらじゃ。1番手柄を立てたものに御褒美をあげるゆえ励め」「なんと」「リリ様の御褒美」「これは負けられぬ」颯爽と駆け出す3馬鹿。全く可愛い奴らじゃ。さて、我も動くとするか。我の任務は玲王様の奥方を守ること。ライトデスガンとやらの排除が済むまで守ってやらねばな。


一方その頃、バーン8世法皇は、新兵器の凄まじさに歓喜していた。ずいぶん粘るではないか吸血鬼共。ライトデスガンの威力にも気付き上手いこと致命傷を避けよる。まぁ致命傷を避けたところで重症だがな。「後方のライトデスガン部隊に通達せよ。もっと異形の者たちへ鉛玉をぶち込んでやれとな」「はっ」伝令はバーン8世法皇の言葉を聞くと後方のライトデスガン部隊の元に走り去っていった。「父上、ただいま戻りました」「リルか、ワシは、お前のことなぞ認知しておらん。そもそも急に娘ですときた貴様など本当にワシの子かすら怪しいわ。せいぜいその良く見えるまなこで異形の者をたくさん討ち役に立つのだな」「はい、わかりました。行ってまいります」リルは足早に後方に去っていく。フン、汚らしいやつだ。あれが崇高なワシの子などありえん。概ね、ワシの子と言えば、保護してもらえると、そういう風に言われたのじゃろう。まぁ、調べる手段が無い以上、娘と言われれば、仕方が無いが、認知はせん。そもそも後継者争いなぞに発展したら目も当てれんからな。次期法皇はワシの崇高なる血を受け継ぎし者でなければならん。せいぜいワシの娘とか言うあの女には吸血鬼共をその良く見える眼で撃ち抜いてもらうとしよう。わーハッハッハッ。さぁ吸血鬼共、この聖戦にて、その身滅ぼしてくれようぞ。


クレハたちはライトデスガンの対処に迫られていた。あの厄介なライトデスガンはどうやらアタイたちにも致命傷らしい。どうせ死ぬならクレオ様のそばが良い。こんなところではごめんだ。クレハは皆に指示を与えていく。「あの攻撃は致命傷を避けても重症だ。アタイたちは皆速度は、ピカイチだが接近戦主体が多い。ライトデスガンはとにかく避ける。リコルとエキナ、アンタたちは魔法にてライトデスガンを操作する人間を討て。メルとカーミラは魔法防壁の展開。アタイとリンダをリグレスト聖教国の傭兵共を迎え撃つよ」それぞれが「了解」と言い対処に当たる。


クソッ。最近のリグレスト聖教国の俺たち傭兵に対する扱いは、全く割りにあわねぇ。こんなことならいっそ。いや待てよ。吸血鬼共には美しいものが多い。特に新手で、来た奴らは粒揃いだ。バーン8世法皇には悪いが俺たちは、独断で動かせてもらう。「おい者共。俺は決めたぞ。吸血鬼の男は殺す。女は捕まえて皆で山分けだーーーー」「さすが団長そう来なくっちゃな」と吸血鬼の女を手籠にするという一点で団結する傭兵たち。


ライトデスガン部隊の男は新兵器に顔を綻ばせていた。この新兵器は恐ろしい。従来の銀の弾丸は弾数に限りがあったがこれは光魔法を使えさえすれば弾数が無限に近い。それに我らは神の教徒、光魔法の使えないものなど存在せぬだろう。グフフ、今まで恐れていたあの三悪にようやく鉄槌をくだすことができる。その時突然悲鳴が上がる。「グワァー」右後方が狙われている一体誰に?アレはキラージャッカルの群れか?なぜこんなところに?いや考えてる場合では無い。俺は部隊長なのだ平静を取り戻し指揮を取る。「落ち着いて、迎え撃ち。ライトデスガンを喰らわせてやれ」了承の返事の後に悲鳴が上がる。「はっ、グワァー」なんだと?今度は左後方が狙われているだと?一体何が起こっているというのだ?そして俺の目の前にマジックドッグが現れた。ニヤリと笑みを浮かべたマジックドッグの顔。以降の記憶は、もはや無い。俺の首は、宙を飛び次の瞬間には、地面に転がっていた。


3馬鹿は大好きなリリからの御褒美に対して、早くも盛り上がっていた。「リリ様からの御褒美は交尾一択だな」「あぁリリ様に俺の子を産んでもらえるなど祝着至極しゅうちゃくしごく」「安心しろ1番手柄を挙げるのは、この俺だ」「では、こうしよう相手もちょうど中央と左後方と右後方に分かれている。俺たちも三軍団だ。それぞれ攻め取り制圧しリリ様に判断してもらうとしよう。どうだこれなら文句あるまい」「おぅ、なら俺たちキラージャッカルは、右後方を担当させてもらうぜ」「俺たちキリングウルフは、左後方に行かせてもらう」「わかった。残り物に福があると知らんのか馬鹿どもめ。中央は俺たちマジックドッグが受け持つとしよう」そういうや否や駆け出し、それぞれが制圧し、ライトデスガンを集める。その数2万挺だ。そう、これは俺たちが食い散らかした死体の総数が2万に及ぶということだ。そこに1人の少女がノコノコとやってくる。「アレ、みんなは何処?うっ。こんなことって、貴様ら良くもみんなを許さない」「小娘?」しかし、なんだあの溢れんばかりの光のオーラは、まずい。今までのライトデスガンが中程度で、重症だったとしたらあの小娘の一撃は何処に当たってもまず間違いなく致命傷になり得る。そんな小娘を殺すのは、リリ様の主人であるクレオ様が悲しむ。人材は宝だと言っておったからな。仕方がない無理しない程度に捕らえるとしよう。「ジャック、リング、あの小娘を捕縛する。一旦共闘じゃ」「うむ」「致し方なし」2人の協力を得られたので、捕縛を試みる。我らは小娘の放つライトデスガンを避けつつ小娘に迫る。小娘はちかづく我らを見ると距離を取る。戦い方を熟知しているようだ。小娘は我々に人語はわからないだろうと思っているようだがしっかり聞こえている。「くっこの魔物どもまさかこの私を捕えようとしてるというの?舐められたものね」「ちょこまかちょこまかと最初の威勢は、どうしたお嬢ちゃん」「ムキー超ムカつく、絶対仕留めてやるんだから」俺の話す人語に少し驚いたようだがすぐに顔を真っ赤にして怒り出す。だが俺たちが近づくと小娘は距離を取る。このままでは、イタチごっこだ。俺はジャックとリングに砂煙を起こすように指示した。その合図で砂煙が起こる。砂煙に一瞬小娘の動きが鈍る。「くっこれじゃあ。上手く狙えない。一旦距離を取らないと」俺はその隙を見逃さず小娘のライトデスガンに喰らい付いた。「くっこのワンコロ離せ。チクショー。でも、私が捕まるわけにはいかない。ここは一旦引いてあげるわ。次がワンコロたちの最後の時なんだから。あっかんべーだ」そう言って、一目散に逃げ出した。「なんだったんだ。あの小娘?」「だが、ライトデスガンは奪えた」「あぁ、今はそれで満足としよう」「任務は達成したことだ、御褒美が楽しみだな」「あぁ」「おぅ」3人はリリからの御褒美が待ち遠しいようだ。


はぁ。クレハの作戦で、ライトデスガンの攻撃をメルとカーミラの防壁で防げるわけあるまい。それにここから魔法で狙ったとして、当たる訳あるまい。魔法は中距離射程、銃は遠距離射程なのだ。それに、ライトデスガンは恐らく現実世界のスナイパーライフルをモチーフにしている。そう考えるなら超遠距離射程だ。魔法が届くわけあるまい。仕方ないこんな馬鹿者でも玲王様の大事な妻たちじゃ。我が手を貸すとしよう。我はクレハたちの前線に立ち三重の防壁を発動する。さてさて、ライトデスガンは、この防壁砕けるかな。「私が玲王様の妻である。お前達を守ってやる。お前達は攻め寄せる傭兵共に集中しろ。わかったな」「リリ、助かるぜ」「リリこそ、危なくなったら逃げて」「心配しすぎだ。私は伝説の魔物ヘルハウンドだぞ」「そうだったね」「リリ、任せる」「ドンと任せるが良い」「リリに助けられてばっかりって感じ〜」「リリ様、この御礼は必ず」結果として、ライトデスガンは、我の作り出す防壁の一つも突破できなかった。暫く凌いでいると敵の攻撃が止んだ。どうやらあやつらやりおったようじゃ。後でうんと褒めてやらねばな。兎にも角にも、レオンダイト様に、ライトデスガンの排除が済んだことを知らせねばな。

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