第25話 魔帝戦争の終結

【アーサー軍視点】


あのいかれ魔族が俺のエレインを洗脳しやがって許せん。


必ず殺してやる。


全兵力ですり潰してやる。


イライラしながら陣幕に戻った。


「どうだったアーサー」


「どうもこうもない。あのいかれ魔族、エレインを洗脳してやがった。全兵力で殲滅してやる」


「そうこないとなぁ。このまま交渉で停戦ってなったら雪辱を晴らす機会がなかったからなぁ」


「ガウェインは残りの重装歩兵と残りの軽騎兵を率いよ」


「おぅ、厄介なのは砦内にある兵器だ。あんな兵器、見たことねぇ。鉄の矢が絶え間なく射出され鎧を貫いてきやがる」


「なるほどなぁ、それならちょいと時間がかかるが土竜攻めと行こう。俺が囮になっている間にガウェインの歩兵隊で穴を掘り砦を落としてしまうとしよう」


「心得た。アーサーも気をつけろよ」


「まぁ被害の出ぬ程度に遊んでやる。全軍出撃だ」


「オオオオオオーーーーーーーー」


【クレオ視点】


一面に砂埃が立ち上がりアーサー率いる重装騎馬隊の突撃が開始されるようだ。


そこに前衛を張るはずの重装歩兵がいないことに怪しさを感じた。


「まさか、奴ら土竜攻めか」


「クレオ様は土竜攻めを知っているのか?」


「穴を掘り砦を落とす工作だよな?」


「うむ、その通りだ。ランスホース帝国が得意とする堅牢な城砦を一撃で落とす土竜攻め。まさかそれを仕掛けてきているというのか?」


「あぁ、まず間違い無いよ。戦場に重装歩兵と軽騎兵が居ないのが怪しすぎる」


「重装歩兵で穴を掘り、軽騎兵で本陣守備か。流石アーサー考えたな」


「感心してる場合じゃ無いよエレイン。万が一に備えてたのが役に立つかも先ずは土竜攻めを潰す」


「そんなこと可能なのか?」


「こんなこともあるかと思ってね。地下のありとあらゆるところにボム爆弾を埋め込んでます」


「えっええええええ。こちらにも被害出るではないか」


「大丈夫だよ。土竜攻めをやる際はバレないように大きな音を立てるんだ。だけど今回地下に埋め込んでるボム爆弾の音は最大級の威力は小。音爆弾なんだよ」


「そうか。堀に穴を空けていたのはその音が外に流れるようにか」


「それだけじゃないけどね。音の反響で敵がどこにいるかわかるんだよ。後はマフランがガブッとね」


「全くどこまで計算しているのか。アーサーよりクレオ様を敵に回す方が私には恐ろしい」


「えっエレイン、クレオ様を敵に回すつもりだったの?そんなの許さないんだから」


「アリッサ、もののたとえだ。それに守るべきものと決めた相手を敵に回す騎士など居ない」


「そうだよね〜クレオ様は知識もカッコよさも一流だもん。えっへん」


さて、じゃあ土竜攻めに気付いていないように重曹騎兵隊の相手をするとしよう。


恐らく無理して攻めてこない。


そこが既に死地とも知らずに(笑)


「サモン、先ほど仕留めた元重装歩兵隊と軽騎兵のスケルトン化は済んだか」


「親父殿、万事整っております」


「良し、軽騎兵の乗っていた馬をスケルトンホースにしてスケルトンに弓と剣を持たせて騎乗。そのまま出撃して重装騎兵隊に弓を射かけよ」


「かしこまりました」


自分たちの元兵や馬が襲いかかってくるのにさてさて耐えられるかなアーサー。


まぁ元の原型留めてないしわかんないか(笑)


【アーサー軍視点】


「アーサー様門が開きスケルトンが出撃してきます」


「良し適当にあしらいつつガウェインの土竜攻めの成功を援護する」


だが俺は目の前の光景を疑った。


出撃してきたスケルトンの数が1000を超えているのだ。


しかもスケルトンホースに2人で跨っているものまでいる。


当初聞いていた魔頂村の総戦力は1000だったはず、それにガウェインはリザードマンやゴーレムを半分ほど討ち取ったと言っていた。


ありえない。


どういうことだ。


敵の総数が増えている。


こんなことは初めてだ。


俺はひょっとしてとんでもない相手を敵にしているのか?


そんなことを考えている時、すごい音がして数刻後、ガウェインの告げた内容に茫然自失となった。


【ガウェイン軍視点】


それが起こったのは、穴を掘り始めて数刻後のことだった。


ドッカーン。


とすごい音がした後、目の前に大型の蛇の魔物、いやありゃ伝説上の魔物ヨルムンガンドが何故ここに。


「妾の愛しい主である玲王様に牙を向く不届きもの共め。己の死を持って償うが良い」


そういうや否や俺の大事な重装歩兵隊員がどんどん丸呑みされていく。


「妾にこんなクソまずいものを喰わせおって貴様ら生きて帰れると思うな」


「ガウェイン様、ここは何とか防ぎますから貴方様は何としてもアーサー様の元に御帰還ください」


「しかし」


「貴方様が生きていれば必ず軍は再編できます。今は生きてアーサー様の元へ」


「くっ、お前達すまない」


「1人として逃がさぬ」


「ここは通さない。ぎゃあー」


「次から次へと鬱陶しい」


後ろから聞こえる仲間達の悲鳴を聞きながら俺は命からがらアーサーの元へ戻ることができ事の次第を報告した。


【アーサー軍視点】


ガウェインの話から我に返った俺はすぐに撤退を告げ、準備を始めた。


あのいかれ魔族は伝説の魔物ヨルムンガンドを従えている。


それに恐らく丸呑みされたガウェインの兵士はスケルトンとなりこっちに襲いかかってくるだろう。


あのスケルトンは恐らくガウェインの連れていた重装歩兵とグィネヴィアの連れていた軽騎兵の成れの果てだ。


どういう原理かわからぬが戦場でスケルトンを生成したのだろう。


このまま俺までやられれば相手の戦力がどんどん増えるだけだ。


減らしにきて増やしましたでは顔向けできん。


俺はエレインに固執するあまり盲目になり、当初の目的を忘れていた。


だがそんな俺をさらなる悲劇が襲った。


【クレオ視点】


帰ってきたマフランを撫で回しながら、汚い物を食べさせたお詫びに卵焼きと目玉焼きとだし巻き玉子のマフランお気に入り3点セットを食べさせた。


「美味しゅうございます〜玲王様〜」


擦り寄ってくる小さくなった可愛いマフランを撫で撫でしながらマフランの吐き出した骨をサモンにスケルトンにしてもらう。


「そろそろ頃合いだね。こっちにも被害が出てるんだから生きて帰さないよ。メデイア高台拠点に合図を送れ」


「かしこまりましたクレオ様。炎よ火となりて飛んで行け」


メデイアが高台拠点の方を向いて、そう唱えると炎が小さい火となり高台拠点に飛んでゆく。


【高台拠点】


メデイアからの合図はまだか?とウロウロしているゴブリル。


何度めかのウロウロの時、高台拠点の上のかがり台に火が灯った。


「良し合図だ。今までやられるだけだったランスホース帝国の奴らに目にもの見せてやれ。投石爆撃開始」


「この石の塊にボムたちのカケラを詰めるボン」


石を輸送するハピネス隊。


石を乗せるシュテン隊。


その石にカケラを詰めるフレイム隊。


そしてそれを発射するゴブリル隊。


見事な連携により想定以上に多くの投石爆弾がアーサー軍に飛来する。


【アーサー軍視点】


「前方から何か飛んできます。グワァ〜」


告げた目の前の兵士が吹き飛んだ。


「おい何が起こっている」


「アーサーこっちだ。逃げるぞ」


「ガウェイン無事だったか。良かった」


「戦場は悲惨なことになっている。絶え間なく飛んでくる石の塊が爆発し、岩の破片が刺さりどんどん亡くなっていく、まるで地獄絵図だ」


「俺はとんでもない奴に喧嘩を売ってしまったのかもしれない。アイツいやクレオだったな。クレオがランスホース帝国に攻めてきた時抗えるのか不安になる」


「それまでに俺たちも力をつけるしかない。敗戦を糧とし明日より身を引き締めよう」


「そうだなガウェイン」


俺たちは開戦当初1万の兵力が100未満になるという大敗北を喫し、ランスホース帝国への帰路についた。


この時俺はグィネヴィアのことを忘れていた。


それがさらなる争乱を呼ぶことにこの時の俺はまだ知らなかった。


【クレオ視点】


「ゴブリル君張り切ってるね」


「さすがオラの息子だ。鼻がたけぇ」


「まさか、私の知るランスホース帝国が完勝に近い形でやられるとは」


「確かに僕とアーサーが一騎討ちになる自体になっていれば負けたのは僕かもしれない。ならそうならないようにすればいいだけのことだよ。そのために知恵を使う。それがこの結果だよ。ここまでフルボッコにしてやったんだ。流石に頭が冷えてしばらくはこっちにこないだろう」


「攻める気力すら失っているだろうな」


「私の出番なかったシクシク」


エレインとの話が一区切りした後、泣いているアリッサに声をかける。


「アリッサはずっと僕の側で護衛してくれてたでしょ。それが役目だよ。ありがとねアリッサ。ヨシヨシ」


「くすぐったいですぅ。クレオ様ったら」


「親父殿、監視櫓の兵より報告。ランスホース帝国兵100余りを伴い完全撤退。我々の完全勝利です」


まぁ見てればわかるけどね。


皆の安堵した嬉しそうな顔を見ると僕も守ることができて本当によかった。


「こちらもここに監視の兵を少し残し後のものは魔頂村に撤収。僕はアリッサとエレインと共に高台拠点に向かうことにする」


「はっ」


皆がそう言い荷物をまとめ始めたので僕も高台拠点へ向かった。


戦後処理というかグィネヴィアの処遇だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る