第85話 『お兄ちゃんからのプレゼント』
無事、4級に昇格した私と楓ちゃんは北海道解放作戦が始まるまでの残り3週間を、できるだけレベルとスキルの熟練度を上げることにした。
私達の役割は後方支援となっているけど、北海道自体が
私達は話し合った結果、調査が終了しまた入れるようになった渋谷
「ねぇ、明日香? 翔さんが渡したいものってなんだろう?」
渋谷センターで楓ちゃんと一緒にお兄ちゃんを待っていると、不意にそんなことを聞かれた。そう、私達は渋谷
でも、何を渡したいのか聞いてないから楓ちゃんの質問には、『わからない』と首を振って答える。
それにしても私達も随分と有名になったみたい。配信してるからいつかはこうなるかもと思ったけど、立っているだけでたくさんの人に話しかけられた。中には一緒に写真を撮ってほしいという人達もいて、楓ちゃんと話す時間がほとんどありませんでした。
「ごめん。ちょっと待たせちゃったね」
丁度、話かけられるのが途切れたところでお兄ちゃんがやってきた。私達が選んだおしゃれな服に身を包んだお兄ちゃんは、その辺の芸能人なんて目じゃないくらいカッコイイ! 後ろにたくさんの女性陣を引き連れている。本人は全く気づいてないみたいだけど。
そのイケメンお兄ちゃんは、手に細長い筒状のケースを2本持っていた。これが今回私達に渡したいものなのかな?
「いえ、全然待ってません! それに翔さん、そのめっちゃ服似合ってますよ!」
あっ!? お兄ちゃんに見とれてたら、また楓ちゃんに先を越された! 全く、楓ちゃんったら油断も隙もないね。こら!? お兄ちゃんも嬉しそうな顔をしない!
「ああ、ありがとう。それで、これがふたりに渡したいものなんだけど、受け取ってもらえるかな?」
女の人に褒められ慣れていないのか、恥ずかしそうにすぐに話題を変えるお兄ちゃん。うんうん、こういうところもポイントが高いんだよね。
お兄ちゃんは私と楓ちゃんにそれぞれ細長いケースを渡す。どちらも同じくらいの長さで、1mくらいあるかな? ふたりで顔を見合わせてから同時に開ける。
「わあ! すごい! きれい!」
私が受け取ったケースから出てきたのは、刀身がうっすら白く光るきれいな刀でした! これってたぶん
「いいものが売ってなくて自分で創ったんだ。よかったら使ってくれ」
何と!? お兄ちゃんのお手製の武器でした! 言われてみれば、滅多に手に入らない貴重な金属だから、加工できる人もほとんどいないんだよね。その点お兄ちゃんはスキルがつけ放題。おそらく、鍛冶とか錬金術とかのスキルを使って創ったんだろうね。
それにしても、全然気がつかなかった。どこで創ってたんだろう?
私が武器を見て喜んでいると、気がついたら周りがざわざわしていた。これは、私達が有名だからとかそんなんじゃなさそう。
「おい、あの武器……」
「あれってまさか!?」
「誰か、あれ分かるヤツいないのか?」
ああ、お兄ちゃんまたやらかしましたね。確かにここは渋谷センター内。周りにはたくさんの
「それじゃあ、頑張って!」
私が周りの声に気がついたことに気がついたお兄ちゃんは、そう言い残してあっという間にいなくなってしまった。逃げたね……
「明日香、私達も行こうか」
楓ちゃんもことの重大さに気がついたのか、慌てて武器をしまって早足で歩き始めた。私も武器をしまって、楓ちゃんについていく。協会の人に捕まる前に
「これを創った……私のために……」
渋谷
「ほら、楓ちゃん行くよ! 新しい武器を試さないと」
私は楓ちゃんを現実に引き戻し、さっさと26階層へと降りていく。ここの階層は、普通に
私はお兄ちゃんからもらった刀を抜いて、魔力を通してみる。
「わっ!? すごい!」
「えっ!? これヤバいかも!? めっちゃ魔法の威力が上がってる!」
楓ちゃんの方もとんでもない性能でした。ただでさえ魔力と相性のいい
さて、私も楓ちゃんも準備が整ったから配信を始めようかな。多分大騒ぎになると思うけど……今更だよね?
「みなさんこんにちは! 『アスカの探検日記』のアスカです。今日は楓ちゃんと一緒にレベル上げをします! 戦ってばかりだと思うけど、今日もよろしくお願いします!」
この後、案の定私達の武器を見た視聴者さん達の間でお祭り騒ぎが始まりましたとさ。
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